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SSR(高校2年生) 同志社大学 政策学部 真山達志先生 講演「まちづくりとは何か」

  • 2021.06.08
  • 講演会

今日は同志社大学 真山達志先生に「まちづくりとは何か」と題して

 

講演を行っていただきました。実際にお越し頂く予定でしたが、3度目の緊急事態宣言でオンラインとなりました。真山ゼミで参加されている「全国大学まちづくり政策フォーラムin京田辺」にて立案された政策をゼミ生の2チームの皆さんにも発表していただき、大変貴重な時間となりました。画面越しですが、真山先生はじめ、多くのゼミ生の皆さんと繋がることができたことに感謝いたします。


真山 達志 先生について

同志社大学 政策学部 教授

専門分野について:行政学

公共政策を行政学の視点から研究しています。公共政策の決定や実施に議会、行政、そして企業やNPOなどの民間の主体がどのように関わっているのか、市民が主体となって公共政策を形成するにはどのような条件が必要なのか、といったようなことが中心的な関心です。公共政策には、福祉、環境、文化、教育といった日常生活に関わるようなものから、外交や安全保障など様々な分野が含まれます。私自身の関心は、特定の分野の政策というよりも、政策をめぐって作られるネットワークの方にあります。ですから、公共政策が展開するところ、どこでも研究対象になります。もっとも、最近は仕事の関係で自治体との関わりが多く、地方での福祉政策やまちづくり政策、あるいは自治体の危機管理政策を扱うことが多くなっています。(同志社大学政策学部教員紹介より)

https://policy.doshisha.ac.jp/faculty/mayama/info.html


「まちづくりとは何か」 -真山 達志 先生

ゼミでの学びの1つとして、自治体を中心とした政策立案、政策形成を勉強しています。「全国大学まちづくり政策フォーラムin京田辺」に第一回目より継続して参加してきた実績を活かし、私たちの話しが皆さんの今後の学びのヒントになれば、とまちづくりを学ぶ生徒たちにわかりやすく明快にお話を進めてくださいました。

●「街づくり」「町づくり」ではなく、「まちづくり」という概念

まちづくりにはいろいろな捉え方があります。「まち」というだけでも漢字により意味が異なります。そのため、まちづくりの場合には一般的に平仮名を使います。

まちと近い概念:コミュニティー、地域経済、住民活動

まちづくりは広い意味での「まち」をどうしていくかということです。

●「まちづくり」とは何か 「まち」を「つくる」とは

安心・安全/良い人間関係/豊かさ/快適/誇り

↓どうやって実現するか

行政によって/市民によって/企業・事業者によって/それぞれが協働して

最近では機関がそれぞれ取り組むのではなく、それぞれ協働することが注目されています。まちづくりに関わる全ての人が、責任、役割を担うことが大切になってきていることの現れです。行政に政策提言をすることもこうした取り組みの1つだと言えます。

●まちづくりを考える

最初の行動:実際に対象となるまちの特徴を理解する

基本的属性、重要属性の観点から様々な機関、また独自のアンケートや実際の現地視察から情報を得る

特に大事なことは、資料や文字で見る情報と、そこに実際に行って得る情報(空気感など)は全然違ったということが多く、現地視察は大事になってきます。

●まちづくりにどう関わるか

そもそも対象となるまちに関心をもつことが原則、そこから段階的な関わり方があります。

1 調べる(重要事項や関連事項)と案外知らなかったことが多い

2 今どのような課題があるのか、まちの問題を見付ける(このあたりから本格的)

3 解決のための提案(ここまではチャレンジできる)

4 案に基づいて活動に参加する(本格的なまちづくりの活動)

5 そのまちに住む(ここまで来たら最終的なまちづくり)

もちろん最後まで関わる必要はないですが、次のゼミ生の発表でも紹介する提案するということは皆さんも近い将来に実現できると思います。そこから一歩進んで活動に参加することができればより望ましいことだと思います。

 

「政策提言」 -真山ゼミ生の皆さん

【全国大学まちづくり政策フォーラムin京田辺とは】

全国の大学生や大学院生が集い、政策を多角的に議論するとともに政策の実施プログラムを作成し評価する、一連の政策過程を射程に入れた「まちづくり政策議論」の必要性を発信し、京田辺市を始め、全国の自治体の活性化に寄与することを目的とする。

令和3年2月の第14回フォーラムでは「シビックプライド」をテーマとし全国より17チームが参加しました。

 

★チーム α「きょう 田辺、好きになりました」

若い世代の定着率の低さを課題とし、その理由を調査から分析、既存の情報誌が読まれずそもそも京田辺の情報を得ていないことに着目、大学を拠点とし若者が若者のための新しい情報誌を発刊、若者のまちづくりへの当事者意識の芽生え、京田辺の地域特性を理解する機会を得て、それがシビックプライドの向上へ、そこから定住につながることが期待できる。継続的な運用のためには協力店を広げていくという課題はあるが、クーポンの発行という仕掛けは若い世代を惹き付け、地元の事業者の協力も得ることでまちぐるみとなる。情報誌の作り手は主体的に関わること、読み手は情報を元に京田辺を知ること、双方のシビックプライドの高まりが期待できる取り組み。

【真山先生のコメントより】

広報誌を作ることとまちづくりは一般的にすぐ結びつかないかもしれないけれど、住民がまちのことを知ること、興味を持つことは、まちづくりの大事な要素の1つです。まちを知るための手段の1つである唯一の広報誌があまり周知されず若い世代に読まれていないことに注目し、新しい広報誌をしかも主体的に自分たちで作るということでも当事者意識が生まれるという双方に働きかけるプロジェクトです。広報を通じての提案、若い人が関わるだけでなく行政、地元の事業者を巻き込む「協働」という発想、また国が目指す方向でもある新しいICT技術を積極的に活用した先進的な取り組みでもあります。様々なまちづくりの関わり方、手段、手法を示すことができた提案だったと言えます。

 

★チーム たすき 「マッチング 京田辺」

より充実した子育て環境、孤立する高齢者の双方の課題に着目、世代を超えた交流を創出するためのアプリを市の管理の元に立ち上げ、マッチングを行い、子どもを預けたい子育て世代と経験や時間はあるが社会から孤立する高齢者の双方のニーズを解決する。マッチングは、高齢者と子どもの交流から京田辺の魅力が語り継がれる機会の創出ともなり二次的な効果も期待できる。アプリの開発や維持という課題はあるが、レビュー機能で、子育て世代は安心感を、高齢者はやりがい、生きがいを得ることができる。住みよいまちで住民のシビックプライドの更なる向上が期待できる取り組み。1つの問題を1つの政策で解決するという発想を超えて、できるだけ少ない資源、労力で効率的に問題解決をする包括的な問題解決の立案

【真山先生のコメントより】

まちづくりの対象、目的がいろいろある中で、子育て、高齢者の問題を解決することで、皆が暮らしやすいまちを作る、大きな目的、そして複数の効果を同時に狙う立案であったと思います。まちづくりは、むしろ一石二鳥、一石三鳥を狙うことが多く、それこそ協働という概念から様々な立場の人を巻き込むことが望ましいと考えます。この立案では、大学生らしくアプリという新しい仕組みでマッチングすることで、世代間を超えた協働の実現を狙ったものでもありました。

 

今回シビックプライドがテーマのフォーラムにおいて、チームαは若者に人気のリアリティ番組のタイトルと京田辺をうまく掛け合わせ、若い世代の関心を引く絶妙なタイトルです。当事者意識やシビックプライドの芽生えという明白な効果を想像しやすい立案でした。アイディアが広がった時は、本当にまちのためになるかと自問自答を繰り返したということです。自己満足では終わらせたくないという意志が伝わってきました。一方で、チームたすきもそのタイトルから、マッチングの「マッチ」とまちづくりのまちを掛けたタイトルから、どのようなものをどう掛け合わせるのか想像し楽しい気持ちにもなります。提案のタイトルも受け手としてはその先の内容に対してワクワクした気持ちを抱けるか大事な要素だと感じます。改めて皆さんの発表から、消して提案が一方通行にならないよう、地域の現状、課題やニーズをまずきめ細かなリサーチから明確に読み取るという事前の作業は大変重要だと気付かされました。

生徒たちの率直な質問にも親切に丁寧に答えていただき、実際のまちづくりに関しての立案、そしてそこへどのように関わっていくのか、より現実的に捉え、理解を深め、改めて今後の取り組みへと想像が膨らむ、大変充実した時間となりました。

真山先生、真山ゼミの皆さま、本当にありがとうございました。