SSS(高校1年生)シビックプライドを高めるために -まちの政策を立案し、提案する Online 各クラスで3つの案を絞る
- 2022.02.26
- 授業
新型ウィルス感染拡大の影響から、1月29日より3学期の講座は再びオンラインとなってしまいました。SSDでは、Google Classroomで生徒たちと録画や時にはオンタイムで繋ぎ講座を継続しています。生徒たちは、1年間の集大成として、京田辺市のシビックプライドを高めるための政策立案に取り組みます。1人1人が立案、提案を想定してクラス内で発表、各クラスのベスト3を決めるコンペを行います。
【立案に向けたアドバイス】
政策というと、まったく一から何か新しいものを考えないといけないと思っている人がいるかも知れませんが、他の自治体の取り組みを参考に、それを京田辺に合う形にアレンジすることもできます。参考に、皆さんが前回調べた政策や、教員の紹介した政策へのコメント、京田辺市の現状についてもシェアします。対面授業でのグループワークはできませんが、生徒の皆さんは多様な意見を持ちとても素晴らしいので、ぜひほかの生徒たちの意見やリサーチも参考にして、政策を考えてみてください。
【振り返り】
京田辺市の特徴や課題を市長のお話からも思い起こしてみましょう。そちらの内容もGoogle Classroomで共有します。
–京田辺市の良いところ-
豊かな自然に囲まれている
川や山に囲まれた自然豊かな街
市の20%を田畑が占めており、野菜や米を中心とした農業が盛ん
玉露の生産地としても有名
大阪や京都、奈良にも簡単にアクセス
ベッドタウンとしての発展を遂げている
若い世代の住宅も増えた
大学のある街
関西文化学術研究都市 他
–京田辺市の課題-
地域のつながりが希薄化している
一時的な人口増にどう向き合うのか
少子高齢化の進行
高齢者のみの世帯が過去15年間で約3倍に増加
要介護者の増加
求められる医療サービスの充実
子育て世代にも魅力的な街へ
シビックプライドの低下
振興地と過疎地の二極化 他
市制20周年のロゴでも「便利でええやん!京田辺」をキャッチフレーズとしていますが、今後の課題はやはりいかに『便利』だけではない地域づくりをするかだと市長もおっしゃっていました。今は通学先があるから、京田辺市に生まれたから、という理由で住んでいる人が多くても、その限られた時間が過ぎてもまだここに住み続けたいと思えるかが問われます。「他にはない、どのように京田辺市の特徴に個性的な一筆を足すかが大事です」という生徒からの意見もありました。
【政策評価の10項目のリストを作成する】
これまでのまちづくりで学んできた内容を振り返り、政策立案する場合にはどのような点をチェックする必要があるか、各自それぞれ考えてみましょう。
そして、全員が出した案の中から、各クラスのSSS委員の話し合いにより10項目をピックアップしてもらいました。
結果をみると、これまでの学びを活かした、よく考えられたチェック項目が挙げられていると感じます。
A組で選ばれた10項目
財源の確保/SDGsを意識した政策か/住民全員に利益があるか/予算に見合った政策か/市民の賛同を得ているか/デメリットがないか/まちの特徴を活かせているか/将来性はあるか/現実的かどうか
【教員が紹介する他の地域での政策】
●花束を持って路面電車に乗ると運賃無料に!「とやま花トラムキャンペーン」(富山市)・・帖佐香織教諭
●「100%自転車で移動できる街」2026 年までに自転車インフラを整備(パリ)・・帖佐香織教諭
●CO-KYOTO ふるさとトピックス!「サケが戻るきれいな由良川を守る」(綾部市)・・朴元婀怜教諭
●20-minute neighborhoods「20分生活圏」を実現するまちづくり(メルボルン)・・福田なな子教諭
●Wikipediaに地元が載っている!地元を知り愛着をもってもらう「ウィキペディアタウン」(静岡県下田市)・・松野翔太教諭
●ヨーロッパで普及する「パークアンドライド」都心への車の流入を減らし二酸化炭素排出低減 (京都市)・・山田ショーン教諭
●空き家プロジェクト 「nanoda(なのだ)」シャッター商店街の賑わいを取り戻す(長野県塩尻市)・・西田喜久夫教諭
●「nanoda」に共感し空き家から新しい’’いわくら’’を創るプロジェクト「tebayo(てばよ)」(愛知県岩倉市)・・西田喜久夫教諭
興味のある人は、他地域での取り組みも合わせてさらに調べてみましょう。
【課題】
・自分が提案したい政策を一言で表してください。(例、20minutes neighborhoods、花トラムキャンペーンなど)
・その政策について内容を説明してください。
・その政策を行うことによって、どのような効果が望めますか。
・その政策は京田辺市民のシビックプライドを高めるものになっていると思いますか。
(既に政策評価の基準が決定したクラスは)自分の提案した政策は基準を満たすものになっていますか。
【政策を評価する項目】
提出された政策を教員が以下の①から⑩の基準に沿って評価し、アドバイスします。
①資本・財源が確保できるか
②実現に時間がかかりすぎないか
③政策の目標やゴールが明確か
④環境や治安に影響がないか
⑤政策により悪影響を受ける地域や人がいないか
⑥まちの魅力を引き出せるか
⑦まちの人びとが望んでいるか
⑧まちのルールに反していないか
⑨もとのまちの個性や魅力を失わないか
⑩経済的に発展が望めるか
【各クラスより3つの政策案の選定】
最終的に修正した政策を共有します。そしてそれぞれに目を通し、各クラスで決めた10項目の政策評価の基準評価に照らして、各自「これだ!」と思う政策を選びましょう。
また選んだ理由を説明しましょう。どのような点が政策評価の項目にあっていると思ったのか説明しましょう。
各クラスで投票によって決まった3つの政策について、提案を想定して動画にします。SSS委員が編集して、アップロードしてください。
【各クラス3つの代表政策立案の提案/発表】
2月26日(土)最後のSSS講座は各クラス、Google meetでのオンタイム授業です。それぞれが取り組み、またSSS委員によって話し合われ、そして皆で共有し、ようやく各クラス3つの政策の提案がまとまりました。
- A組
『レトロシティ』 玉露とお寺/開放的な建物/古典やギャラリー/玉都やお菓子のオシャレなカフェ/定期イベント開催/SNS発信
『自然のまち京田辺』 豊かな自然/四季に合わせた花などでの景観づくりで癒しと経済効果を/住民も訪問者も/カフェ併設
『京田辺宿泊で関西満喫』 利便性活かす/ショッピングモール、商業施設の充実/ペット預かり/若者の街(大学のまち)のアピール
- B組
『賞味期限ギリギリ商品祭り』 近くのスーパーやコンビニ商品一箇所にまとめて販売/食品ロス解決/生産者、住民、販売者、地球ウィンウィン
『学生に優しいバイトと家賃』 政府の援助や市の寄付でバイトの時給や家賃補助/学生が住みよいまち
『Working pod』 リモートや集中して仕事をしたい人/それぞれのpodデザインを変え変化も/毎回新鮮な気分、自分のお気に入りを探す
- C組
政策を選んだ理由3つ(豊かな自然を有効活用・生活環境の向上、市民の健康守る・環境問題と暮らし)
→都市と自然の共存をコンセプトにしたまちづくり
『グリーンシティ政策』 市街地の植物を増やし自然環境の保護/よりよい住環境/環境先端都市としての知名度向上/自然を利用したアクティビティの実施(竹林キャンピング・ハイキングコース)
『ふるさと納税』 豊富な返礼品の活用促進/納税された資金の活用(こども園の整備運営、図書館に行きたくなるプロジェクト、まるごと京都の日事業、一休さんウォーク、わくわく体験教室、京田辺市絆ネットワーク、地球温暖化対策、イスワン、文化講演会)/子どもの経験/末端まで届く活動/地域交流
『ネイチャーカフェ』 自然を主要としたカフェ/魅力発信/メニューは地域の産物玉露など/幅広い年代/リラックス、地域住民観光客両方にも
- D組
『みんなに優しい京田辺』 貸出自転車/WiFiの設置/最新の案内板(外国語・点字対応)
『いつでもWiFi』一定の金額でどこでもWiFi/今の時代みんなに必要/観光客の増加/地域のことを知ってもらう
『京田辺の自然をパシャリ!』 インスタ利用/コンテスト/商品特産物/面白そうという企画/世界中に発信可能
- E組
『田畑バイト』 貴重な経験/地元の人との交流/高齢者を若者が助ける仕組み/シビックプライド
『京田辺市の自然と触れ合おう』 晴れた日のピクニック/住民同士の結束/自然を身近に/シビックプライド
『空き家託児所』 空きやで高齢者が子どもの面倒/放置空き屋・高齢者増加・就業の問題解決/シビックプライド
- F組
『リアル人生ゲームde街おこし』 継続的なイベント/魅力の発信/幅広い世代/市民の協力/地域の繋がり
『レンタルサイクリング』 京田辺の自然/健康促進/環境に優しい
『旬の商材フェアin 京田辺』 旬の野菜を市民に低価格で提供/定期開催/若者と農家交流/京田辺の魅力の再発見
どの政策も個性的で、魅力があり、皆が評価基準に従って真剣に取り組んだことも伝わってきました。教員も含めて提出された動画を楽しく視聴し、ワクワクと感じさせられる提案がいくつもありました。
【最後の課題】
・各クラスの政策の提案を視聴した感想・意見をまとめましょう。
・SSS講座で学んだことをまとめましょう。
【1年間のSSS講座を終えて】
まちづくりというテーマを通して、自分たちのまちの特徴や将来住みたい環境などといった視点からSDGsを捉え、何か取り組むきっかけになったことを願っています。講座の一番始めに、住んでみたい街について尋ねたときと、現在では、まちについての気付きや考え方に何か変化はあったでしょうか。まちづくり、SDGs、プレゼンのやり方、講演でのお話等々、この講座で自分なりに得たものはどんなことだったでしょうか。これからも様々な場で、継続してこういった社会課題について一緒に考え話し合う機会を持ちたいと思います。
●生徒の感想
・いろいろなまちのまちづくりを学べた(それぞれに工夫があった)、まちの見方が変わった
・まちづくりを考えたこともなかったが、こういう機会があり、住んでいるまちについてもっと知り考えたくなった
・中国ではまちの政策に学生が関わることは考えもしなかったが、学生も実際に考え、提案できるということ
がとても新鮮だった
・自分たちの街と言ってもいい京田辺の知らないことをたくさん学べたことはとても良かった
・SDGsの広い世界の課題が、自分たちのまちづくりという身近なところからも解決につながることを知った