SSD(高校3年生)それぞれの取り組み-夏休みを前に-
- 2024.07.05
- 授業
研究のテーマについて、講座のメンバーや教員からのアドバイスを受け、対策を講じながら各自でリサーチを続け論文をまとめています。夏休みを前に、今後のスケジュールを整理しこれまでの研究成果を発表する機会をもちました。
● 発表1「豊中市における緑化計画の改善点」
➡概要 私が住む豊中市の景観に配慮した緑を増やす方法について論じる。
➡はじめに まず感じた街のイメージアップになるような緑地が少ないということから、他地域の事例を検証し豊中市の政策の改善点を探る。
➡先行研究 大阪市、横浜市、岩沼市の緑化計画についてまとめ、豊中市と比較検証する。市民の交流の場を増やし市民中心の緑化計画を広げることが大切だという気付きがあった。
➡おわりに 都会の緑の保全や緑地化計画のみにとどまらず、市民とともに行う街の景観に配慮した取り組みの重要性に気付いたことを結論と結び付けたい。
● 発表2「オーストラリアと奈良の観光政策の比較」
➡概要 奈良県の観光政策の問題点を明確にし、オーストラリアでの観光政策と比較検討して改善点をまとめる。
➡はじめに 奈良県への観光客の訪問率が低いことから、現状の問題点を整理する。
➡先行研究 オーストラリアの各都市の観光政策とその効果について検証し、奈良の現状と比較する。奈良ならではの魅力、快適さを見直し、長期的に選ばれる観光地を目指すための課題を探る。
➡おわりに 宿泊数の圧倒的な少なさや、知名度の低さ、これらを解消するためのヒントとしてオーストラリアでの’’Come and say g’day’’を参考に、奈良においても滞在型観光で魅力を旅行者自身に発信してもらうといった一石二鳥のプロモーションを提案したい。
● 発表3「なぜ外国人労働者は日本から脱出するのか」
➡概要 外国人労働者の抱える問題点にフォーカスし、2024年度に新たに導入された制度を検証しながら近年日本で増加傾向にある外国人労働者に対する非道理的な扱いの解決策を講じる。
➡はじめに 日本で働く外国人労働者の抱えるバックグラウンドやその傾向をまとめ、彼らが日本で抱える根本的な問題を整理する。
➡先行研究 日本での働き方の特徴を来日しているベトナム人、日本人学生という違った視点から分析した先行研究より、技能実習生に関わる制度の問題点を明らかにする。
➡おわりに 労働者の人権を守るというのは、日本人、外国人に関わらず平等であるはず。外国人労働者に対する制度はまだまだ改善の余地があることから、日本で働きたいと思える環境作りができる改善策を提案したい。
● 発表4「日本の農業を活性化させるためには」
➡はじめに 日本の農業の抱える問題、特に農業従事者の減少に焦点を当て、農業の発展のための解決策として「学生による農業アルバイト」について検討したい。
➡先行研究 担い手不足の対策としても注目されるスマート農業の社会実装の取り組みについて調べる。現状を検証し、課題や新たな取り組みをまとめ、国土面積は狭いが農業大国であるオランダとの比較において改善点を検討する。
➡おわりに スマート農業を農業の未来の発展のための改善策とし広げていくために、それを得意とする若者の職業選択肢の1つに農業が当たり前に入る仕組み作りを提案したい。
● 発表5「空き家への有効な措置とは~対策を比べて~」
➡概要 深刻化する空き家問題の現状を踏まえ、有効な対策をとる重要性を示す。
➡はじめに 2024年4月に日本では空き家数が過去最多を更新したが、空き家は放置される一方である。現在の制度や空き家対策特別措置法といった対策を調査し検討する。
➡先行研究 日本での中古物件の価値の低さ、高齢化など、空き家の増加と問題の要因についてまとめる。また現在、京都市や鶴岡市で取り組まれている対策、空き家バンクの活用などについてもその効果を検証する。
➡おわりに あらゆる措置もとられる一方で、肝心の所有者の空き家問題への関心の低さという気付きがあった。空き家に対する課税や、また空き家を優良住宅として普及する体制作りが必要と感じ提案につなげたい。
● 発表6「奈良市自転車促進計画を書く意義と効果的なプロポーザルはどう書くべきか」
➡概要 「まちづくり」を学ぶなか特に自転車に関する政策に関心をもってきた。サステイナブルなまちづくりの面からも多くのメリットがあるにも関わらず奈良市には目立った促進計画はない。自転車普及の促進計画の重要性について述べる。
➡先行研究 日本での課題は、自治体における自転車利用の際の資料(案内やパンフレット)が分り辛く新たな利用者の増加にまで至っていないことに気付く。同じく国土交通省の自転車促進の12個の基本方針も、奈良市では認識が浅く実施されていない。実際に自転車で回ってみた結果、市民にもっと周知すべきだと感じることが多くあった。ドイツ、オランダの先行事例を比較検討した結果からも、市民の意識向上を即し、明確な目標をもち改正に取り組む必要がある。
➡おわりに 自転車利用を促進するメリットとしては国土交通省も「二酸化炭素の抑制、災害時における利便性、健康促進、混雑の緩和」などと社会的効果を示している。このメリットはほぼ各国共通ともいえるため、プロポーザルの目的もこれを基本に考えて講じたい。
● 論文制作のレクチャー
論文に取り組む生徒たちですが、いくつかの参考書から、教員よりレポートの書き方についてレクチャーを受けました。
【井下千以子著「思考を鍛えるレポート・論文作成法[第3版](慶應義塾大学出版会)】
取り上げた内容:仮説を立てる/引用して示す/参考文献リストの作り方/論文の章立ての慣習等
最後に文献研究による仮説論証型論文の自己点検評価シートの紹介もあり、その都度チェックすることも大事だと学びました。
【佐渡島沙織他著「大学生のためのレポートの書き方」(ナツメ出版企画)】
取り上げた内容:全体の構成と主張の位置/先行研究を踏まえる方法
先行研究等で参考文献の引用の仕方についても改めて確認しました。
【石井一成著「超図解 レポート・論文術」(日本文芸)】
取り上げた内容:「作文」と「レポート・論文」の違いとは?/「論文」の構成要素を知ろう/論文の骨組みを作る
客観性のある文章を意識して書く方法の1つとしてPREP法といって、まず要点や結論を提示するなど、要点を学び各自論文に活かすようアドバイスを受けました。
いよいよ高校生最後の夏休みでもあります。2学期の終わりには最終の研究発表も予定しています。2学期のはじめには改めて報告会をして研究の進捗具合を共有する予定です。
各自、悔いのない有意義な休みを過ごしましょう!