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SSD(高校3年生) 京田辺市への提案 ーグループワーク

  • 2021.06.29
  • 授業

京田辺市への提案について、GW中、各グループで役割分担をして各自リサーチを進めました。グループワークの予定でしたが、緊急事態宣言の下で、しばらくは個人での取り組みが続き、宣言の解除後はいよいよグループに分かれての提案作りが始まります。残りの1学期は提案の仕上げに集中して長いスパンで講座を進めていきます。

 

●提案の修正

提案を修正する際には以下の点に改めて気を付けます。

★特性を活かす、独自性のある案へ

★軸のぶれないはっきりとした方向性をもった案へ
個人ベースの提案書をA4のプリントにまとめて提出、教員が内容を確認します。

提出された個人ベースの提案書を全員で共有しながら教員が評価した点などアドバイスを行います。同時に生徒たちからも質問やそれに対する回答の発言もあります。他の人の提案書の評価から、多くの学びがあると考えています。自分の案に対しては、ただの批評に終わらせない、良くするための1つの過程と受け止め、改善へと繋げて今後に活かして欲しいと思います。厳しいアドバイスも今後へのエールです!

●提案とアドバイス

『ボランティアでポイ捨てを減らす・美しく災害に強いまち』

 街の防災と美化はまちづくりのキーワード

提案としては当たり前のこと?新しい視点を取り入れているか?

 都会では取り組みやすいが、京田辺の特性を考えると必要か?

 

『公園を誰もが楽しめる場所に』

シビックプライドの高い街には安らげる公園があるという視点

単に公園を整えるだけ?他との比較は?何かの仕掛け、工夫はどこに?高校生らしさ?

 

『自然を活かしたコワーキングスペース、家族でも過ごせる場所つくり』

 京田辺の土地の特性を活かす、コロナ禍のニーズとマッチ

 課題の費用面、他の自治体との比較において京田辺にとってよい解決策か?

 

『アートと福祉/デザイン性の高いコミュニティ冷蔵庫の設置』

 先例の少ない挑戦的な取り組み

フードロスと貧困、特産品のアピール、複合的な問題解決策

 自分は使う?civic prideは高まるか?衛生面、管理といった持続的な体制は?

 

『歩くコース作りとコワーキングスペース』

 歩くという実現しやすさ、ニーズの高いコワーキングスペースとのコラボ

 コワーキングスペースの具体性に欠けているのでは?

やってみたい、行きたいというインセンティブはどこに?

 

『ジモteensmap (ジモティ+teen’s map)』

 高校生ならではのコース設定、civic pride向上、健康作り、産業の活性化、複合的な問題の解決を、事業者、自治体を巻き込んで行う

 コースやお店情報のアップデート、玉露ディスペンサー等の具体的な管理方法は?

 

『シェア商店』

 空き店舗や空き地であった空間を今までにない空間へと生まれ変わらせるという発想から思わぬ付加価値を生む可能性

 管理、コーディネート含めて持続させる工夫は?使用者によっては、街に違和感は?

 

『京田辺ideat (idea+eat)プロジェクト』

地元の飲食事業者と高校生のコラボレーション、産業の振興と高校生が地元を知りながらお得に飲食できる仕組み

 周知の方法や協力してくれる事業者へ理解を得るための具体策は?

 

『tea park』

 地元の人が自分たちの街の価値の再発見、憩いの場所つくり

 既に大手の企業の運営する施設がありながら、独自性は?高額な建設費用は?

 繰り返し利用したいと思わせる工夫や仕掛けは?

 

『散策モデルコース/休憩スポット』

シェアバイクの設置と活用を広めるためのシェアバイクツアー

いろいろなアイディアを盛り込みすぎでは?一貫性?新しい発想は?

 

『全ての人が利用できる交通』

 人に優しい交通のモデル作り、住みやすさ、街の価値を高める

 人々のニーズ、行動をリサーチした交通区間、ルート?高校生ならではの視点?

 

『小中高生向けの特産品を使ったプロジェクト』

 子ども達に地元への興味を抱くきっかけ作り

 プランの具体性、インセンティブは?対象は地元の人だけでいい?

 

『オンデマンドバス』

無駄な運行をなくし、住民のニーズにも応える時代を捉えた案

経営母体の確立、値段設定の裏付けは?

他の類似するケースとの比較検討における京田辺独自性は?

 

『玉露で国際化』

ウォーキングマップアプリや大学とのコラボで世界へ発信

アイディアから具体性を持たせるための裏付けは?

どういった効果が期待できるか?

 

『災害に強い街』

防災マップの作成や放置林の竹を使った防災グッズの開発

公募では外に丸投げになっていないか?

防災は既に市が取り組んでいて、付加価値を付けるのも難しい課題

今回の案ではキャンピングなど身近なものとのコラボでもいいのでは?

 

『ながらデザイン』

様々なテーマのウォーキングコースの設置による健康作りと地元企業の活性化

現在あるウォーキングコースとの差別化?

コース設定の具体的な方法は?

 

『シェアサイクル・レンタルサイクル』

オンデマンドバスとの組み合わせによりより利便性の高い移動手段に

地元では自分で自転車を持っている人がほとんど、そのメリットは何?

他の地域での先例をさらに参考に課題への対策、京田辺らしい独自性とは?

 

『ゴミゼロの街』

ゴミ箱を増やしポイ捨てを0にする取り組みでシビックプライドを高める

独自の発想?付加価値?ゴミの回収に地下を利用?地下はどこに?費用は?

 

それぞれに厳しいアドバイスもありましたが、きちんとした裏付けとリサーチに基づいた案には説得力がありました。また、高校生らしい独自性、京田辺の地域性という点にも焦点がきちんと当たっていること、その上で、ワクワクさせられる、やってみたいと思わせる提案を目指していきたいと思います。

●提案の仕上げに向かうグループワーク

今後は緊急事態宣言も解除されたことから、提案の特性を考慮して以下の4つのグループに案を集結させ、グループで話し合い、案を完成させていくための時間を設けていきます。

【グループ分け】

  • 健康促進関連
  • 観光・特産品関連
  • 交通関連
  • 防災・美化関連

提案をまとめる際には以下の点に改めて気を付けます。

★グループ内で意見を出し合った内容を取り込み、新たな課題に対しては対策を講じ、より具体性、実現性を持たせる

★みんなの案の寄せ集めにはならぬよう、軸の案はぶれない

★資金面・安全性は実現させるためには大切な要素、課題解決の提案は十分に

★全ての案をそのまま実行するという選択肢に加えて、足がかりとなるような試しに取り組める案という提案があってもいい

★シビックプライドを高めること、取り締まりや強制ではなく自発的に動くような取り組みであること

グループ内や教員となど、毎回活発に意見を交換しながら、提案について話し合っています。話し合いが進むと同時に、個々のリサーチによる他の地域の先例やデータといった資料も徐々に増えて裏付けとなっています。今まで本来の活発なディスカッションをする機会が少なく、個人での取り組み、ネット上での考えの共有が増えましたが、その中でもこうして提案がまとまってきました。またコロナという状況は、今までになかった新しい価値観の気付きとして、発案を後押しする材料になったという面もあります。生徒たちは、今まで学んできたインセンティブやシビックプライドといったキーワードについても振り返り、提案の仕上げにあたってはさらに想像力を広げて欲しいと思います。準備されたワークシート「~title~の企画提案について」を完成させることで、グループでまとまってきた内容について確認することができます。グループでまとめた提案の内容については、1学期最後の講座で発表します。ハンドアウトは、事前に作成し提出します。

●提案のグループ発表

グループでの話し合いを通じて修正された案を発表します。聞く側の生徒たちは、いつもしているように、ただ今回は自分たちで評価項目を決めた評価シートに記入しながら、疑問点についてはどんどん質問をします。

 

【グループA : 京田辺の自然を活かしたコワーキングスペース】
自然豊かな郊外でありながら、都心へのアクセスがよく働く世代の多い京田辺の特性から、コロナ禍での人々の価値観の変化やニーズに応える。どこか遠くに行かなくても、自然の中で気持ちよく働くことができる、また働きながらも家族で一緒の空間の元、有意義な時間を得ることができる場所の提供。Caféを併設し、特産品を材料としたメニューの提供、特産品を材料としたワークショップなど、京田辺の魅力の発信基地としても、特産品でもあり放置林の問題の解決のためにも地元の竹を使った内装、そして地元のアーティストの作品の展示など独自性を出したものにすることでも、生活の質を上げながら京田辺への理解を深める付加価値を目指す。

 

【グループB : ジモteen’s マップ】

豊かな自然や誇れる特産品があるにも関わらずそれが周知されていないことに着目し、またコロナ禍で遠足や校外学習の機会の減った中高生のニーズとマッチさせ、国際生による地元の散策マップを作成しSNSで発信しつつ情報交換といったコミュニケーションを取る。マップには、豊かな自然を満喫する他、地元の飲食店巡り、特産品の玉露を持参したタンブラー等にレフィルできる場所、またオープンな同志社大学キャンパスもスポットに入れ、若い世代が楽しみながら京田辺を知り、京田辺の事業者の協力も得て、複合的な課題を複数の組織と協働して解決を目指す。

 

 

【グループC : アイデート ideat 】

環境に恵まれた豊富な京田辺の特産品があまり周知されていないことに着目、地元の飲食店とコラボ、店での地産地消メニューの提供を通じて特産品のPRへとつなげ、京田辺市の住民ばかりでなく、京田辺市へ通学する学生のシビックプライドの向上と同時に他地域からの集客、産業の活性化を目指す。地元の飲食店で提供する地産地消メニューは、公募から採用してもらい、割引券の発行やキャンペーンへの参加をしてもらい、SNSで利用者に発信する。

 

 

【オンデマンドバス・シェアサイクル】

京田辺市では運行するバスの利用者が少なく、車を多く使う傾向があることから、より使用者のニーズに合った京田辺市と事業者によるオンデマンドバスの運行を目指す。また誰もが気軽に使えるシェアサイクルを活用し、京田辺市全体の利便性の向上、生活の質の向上、そして先進的な街ぐるみでの環境への配慮を目指す。シェアサイクルのポートは、空き地利用、環境への配慮を発信する拠点にもなり、エコでクリーンなまち全体の質の向上も期待できる。

 

全ての発表が終わり、質問などからも更なる課題が明確になりました。どの案も、実現すれば楽しそうだと思わせられます。誰と一緒に取り組むか、どう巻き込むか、複合的な解決に繋げることも大きなポイントになりそうです。夏休みの期間を利用して、リサーチの幅も広げて、改めて自分たちの提案と向き合って2学期を迎えて欲しいと思います。2学期には本提案の前に、京田辺市の担当者の方へ相談する機会も持つことを予定しています。夏休みの課題は次の表の通りですが、皆さんが夏休み期間中も、アンテナを張り正しい情報を受け止め、広い視点を持ち、見識を広げてくれることを願っています!

●夏休みの課題

課題図書を読み、それぞれに読み取るポイントに応じてまとめましょう。



タイトル  著者  出版社   以下の内容について書籍がどのように論じているかを読み取って、そのことを中心に記述しなさい。
1 シビックプライド 都市のコミュニケーションをデザインする  伊藤香織  読売広告社 宣伝会議  都市のコミュニケーションデザインはどのようにシビックプライドを醸成するのに役立つか
2 神山進化論 人口減少を可能性に変えるまちづくり  神田誠司  学芸出版社  神山町ではどのような手法で人口減少を可能性に変えるまちづくりを行っているのか
3 スローシティ 世界の均質化と戦うイタリアの小さな町  島村菜津  光文社新書  イタリアの小さな街はどのようにして世界の均質化と戦ってきたのか
4 人口減少×デザイン  筧裕介  英治出版  日本の人口減少の事実とその対策はどのようになっているのか
5 ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか  村上敦  学芸出版社  ドイツのコンパクトシティではどのような工夫がされており、なぜそれは成功しているのか
6 ポートランド 世界で一番住みたい街をつくる  山崎満広  学芸出版社  ポートランドが世界で一番住みたい街といわれるのはなぜか。
7 デンマークのスマートシティ: データを活用した人間中心の都市づくり  中島健祐  学芸出版社  人間中心の都市づくりのために、デンマークではどのようにデータを活用しているのか
8 フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか  ヴァンソン藤井由実  学芸出版社  フランスの交通、商業、都市政策はどのように地方都市の活性化に寄与しているのか
9 イギリスとアメリカの公共空間のマネジメント  坂井文  学芸出版社  公共空間から都市を変えるしくみをいかにして実装するか
10 未来都市構想  村上周三  エネルギーフォーラム  都市のスマート化とスリム化がなぜ未来の都市にとって重要なのか
11 モビリティをマネジメントする コミュニケーションによる交通戦略  藤井聡  学芸出版社  コミュニケーションによる交通戦略とはどのようなものか
12 モビリティ進化論 自動運転と交通サービス、変えるのは誰か  アーサー・ディ・リトル・ジャパン  日経BPマーケティング  既存交通サービスの問題点と2030年のシナリオ~自動運転と交通サービスを変えるのは誰か