SSR(高校2年生)フィールドワーク ①甘南備コース②新田辺コース
- 2021.11.16
- フィールドワーク
フィールドワーク2回目当日。今回も2グループに分かれて、教員が各1名ずつ付き添い2箇所をそれぞれのグループが訪れました。新田辺駅東エリアの商店街を訪れたグループの様子を紹介します。このエリアは、近鉄電車の新田辺駅、JRの京田辺駅が並び、ほぼ並行して走ります。近鉄新田辺駅周辺は、1928年、JR京田辺駅はさらに古く当時の田辺駅として1898年に開業しています。開業以来、西側を中心地としながら1960年代から東側にも住宅や団地が開発されました。京都方面から通学する生徒たちにとっては、乗り換え等で馴染みのある駅ですがあまり下車する機会はないようです。かつての賑わいを失ったエリアで、その維持や復興について、そこに携わる方達がどのように考え、努力されているのか実際にお話を伺う貴重な機会となりました。
【新田辺コース】
●学校から最寄りのJR学研都市線「同志社前」から1駅「京田辺」へ
このコースに参加した生徒は6名。案内、そして様々な質問に答えて下さったのは、新田辺東商店街(キララ商店街)で長年続くカメラのトモミ堂代表田原剛さんです。キララ商店街の理事長としても商店街だけでなく地域のために貢献されています。「『まちづくり』を意識し始めたのは20代から30代でした。自分にとっても子どもの頃に温かく大切な居場所だった商店街を同じように未来の子ども達に残すために地域に根ざした活動をしています。」とおっしゃっていました。
●商店街
「商店街」の定義:皆で力を合わせて、まちや地域を良くしていこうとする組織
個々のお店の集合体だけでは「商店街」とは言えません。日本全国にある「商店街」はその地域を良くしていこうとする人たちの組織であったことは新鮮な再確認でした。
「危機感から始まるまちづくり」
危機感を持たないと人は動かない!大型集合店舗やインターネットの普及により商店街のニーズが減り、活気が消え、店主の高齢化も伴い存続の危機に。そこで良き古きを残したいという意志をもったメンバーが、『次の世代に誇れるまちづくりを目指し』活動しています。
●仲間作りとファン作り
「自発的な意識改革は、街が活性化する大きな機動力」
店主さんたちの意識を変えるために話し合い、そして近隣の大学生とも多くの取り組みを一緒にすることで、皆のモチベーションが上がりました。商店街にとっての儲けとは、お金ではなく、信じるもの=ファンであり、仲間、友達を増やすことが一番大切なこと。お金をかけずに人の心を動かす、興味をもってもらう、様々な仕掛けにより、仲間の意識が自発的に良い方向へ変わっていきました。
●様々な仕掛け
商店街オリジナルキャラクターの誕生「キララちゃん」
全国公募からホームページと商店街で投票をして決定しました。募集の際のキーワードは「温・Co・知・新」、ビジョンは「未来に誇れるキララ商店街」です。将来を担う若いお母さんお父さんたちに来てもらいたい、好奇心旺盛な子ども達が前向きにいられる場所でありたい、みんなの大切な存在になりたい、それらの象徴が永遠の4歳キララちゃんです。キャラクターの力を借りて、商店街を知ってもらう、愛着をもってもらうきっかけになっています。
キララ2時間ISU耐久レース「イス1グランプリ」
知る人ぞ知る、これは事務用の椅子で真剣に街を駆け抜ける世界大会です。こんなことできたら楽しいやろうな、という発想から生まれたレースです。ロイター通信にも取り上げられ、レース動画は400万回再生越えとなり、世界中からメッセージも寄せられるようになりました。「キララ2時間ISU耐久レース」を略して「キララ2(に)I(会い)耐(たい)」とロゴ合わせまで、楽しみながら、思いを乗せる工夫も忘れない、そのような熱意ある仕掛け作りに感心しきりでした。
←来年のISU1グランプリが開催されますように
商店街の会議室でお話を伺いたくさんの質問にも答えてく下さった後、商店街を一緒に歩いていただきました。お話を聞いた後では、ぜひともかつての活気を取り戻して欲しい、商店街にしかできない、人々の心のつながりや、頑張ろうと思うことのできる温かいコミュニティの復活を強く願う気持ちに変わっていました。生徒たちもまた、田原さんのような方達が今日お話を伺ったように、様々な工夫やアイディアでまちづくりをされていることに大変刺激を受けた様子でした。実際に田原さんもそこにご尽力されていたように、お金をかけずに「人の心を動かす」ということは、まちづくりでなくとも、どんなことをする時にでも一番大切なことだとメッセージを送ってくださったことがとても印象に残りました。今日は貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。