SSR(高校2年生)公共美術館とまちづくり 田附那菜先生
- 2022.10.25
- 講演会
京都での展覧会「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡」が開催されるにあたり、元研究員で、同志社国際の卒業生でもある田附先生より講演とセッションをしていただく機会をもちました。田附先生、貴重なお時間をいただき本当にありがとうございました。
●田附那菜先生について
1992年京都市出身。同志社国際高等学校卒業、同志社大学文学部美学芸術学科卒業、
独ケルン大学大学院修士課程美術史研究科修了。ルートヴィヒ美術館研究員(2020年7月-2022年6月)を経て、ミュンスター大学大学院博士課程に在籍しながら、様々な展覧会図録の寄稿文執筆、展覧会やアートプロジェクトの企画・運営に携わる。
高校時代は、漠然と将来のことに悩む中、先生のアドバイスで学部を決めたそうです。高校3年生で3.11が発生、環境問題に先駆けて取り組んだドイツに興味をもったこと、ドイツに幼少期に滞在した経験が、ドイツへとつながったきっかけだったかもしれないと話してくださいました。また、やりたいことを職業にするドイツの知り合いとの再会があり、一転奮起、大学ではドイツ語も一から、学業にもとても熱心に興味をもって取り組んだそうです。自分がどんな人間なのか、何に興味があるのか、考えてみることが大事だったと高校時代を振り返られていました。
●公共美術館とまちづくり
講演は、限られた時間のなかで、生徒たちがリクエストした多くの質問を中心にお話をしてくださいました。今回の展覧会と特徴としては、名品展ではなく、あくまで作品は市民からの寄贈や寄付で成り立っていること、美術館のコレクション史やそれぞれの作品の歴史に注目してくださいとのことでした。美術館の名前にもなっているルートヴィヒ氏をはじめとしてどのような市民によって支えられてきたのか、そしてケルン市が運営する公共美術館の成り立ちや管理、そして社会的にはどのような役割を果たしているのか、とても興味深いお話でした。無料開放の日、music nightなどお酒を飲んだり踊ったりといった交流イベント、さまざまな分野とのコラボ企画、教育プログラムなど、美術館は年齢を問わず、ハンディキャップの有無を問わず、全ての立場の市民の日常生活の一部だとおっしゃっていたことがとても印象深かったです。日本と比べて市民との距離の近さを感じました。