SSR(高校2年生)アイディアを出すためのワーク/SDGs#11
- 2022.05.10
- 授業
前回の講座で、分析モードの「さくらんぼ分割法」という手法を用いて問題解決を実践してみようと試みました。今日は、前半はその続き、そして後半は改めてこれから取り組む「まちづくり」というテーマの基本となるSDGs#11「住み続けられるまちづくりを」について振り返ります。
●「新しいICT機器」を発想する
さくらんぼ分割法を用いてアイディアは導き出せたでしょうか。発表してくれた生徒たちの例を紹介します。
「音楽が聴けるメガネ」
IT機器といえば…
スマホ→音楽プレーヤー→イヤホン
ノートパソコン→折り畳み→メガネ
「SDGsを考えたメッセージ発信機器」
IT機器といえば…
最先端→アメリカ→ガーファ
AI→メッセージ
「充電不要な携帯電話」
IT機器といえば…
電気→充電必要
最先端→省エネ
「自動的に救急車を呼ぶスマートウォッチ」
スマートウォッチといえば…
かしこい→情報処理→スマホ→メッセージの送信
様々な機能→健康管理→心拍数
実際にあればおもしろいという発想や、実現不可能と思われるものからすぐにでも商品化しそうというものまで生徒たちの発想は豊かでした。2つの手法を用いて問題解決の方法を探ることに取り組んでみましたが、それらの方法においてお互いに意見や案を持ち寄ることはとても大切です。さらに新しい改善策を導く可能性が広がることを実感しました。
●SDGs#11
1年生のSSS講座でも学んだ復習となりますが、SDGsの17の目標の1つ「#11住み続けられるまちづくりを」をこれから中心に取り組んで行くため、改めて振り返ります。
SDGsは国際間で地球規模の問題を共通の問題と認識し、協力して解決するために制定されています。戦争、冷戦、そういった過去があり、現在ではグローバル化が加速していく中で、世界が同じ目標を持ちまとまったことはとても良いことです。ただし、MDGsでほぼ全ての目標で成果が見られたものの、根強く残る男女不平等、極度の貧困など、「格差」は広がり最も脆弱な人びとが社会の犠牲となっている事実があります。そこでSDGsでは誰一人取り残さないということが一番の課題となっています。
●SDGs#11の7つのターゲット
【SDGs#11への理解を深める】
将来、都市における生活人口が大幅に増加すると予想される中、まちづくりは私たちの生活とも密接に関係します。様々な社会問題の発生に備えて設定されている7つのターゲットを理解し、以下のことを書き出してみました。
疑問
電車やバスのバリアフリーが進んでいない/障害のある人の立場に立っていない/ホームや踏み切りでの事故絶えない
うまくいっている事例は?
高齢者の乗り合いバスサービスの普及/TAXIの活用が広がっている/オンデマンドサービス/欧米でよく見かける自動スロープなど公共交通のバリアフリー化
うまくいっていない事例は?
日本での都会と田舎の交通の利便性の格差/大隅半島をはじめ鉄道に代わる交通手段の乏しさ
改善策のアイディア
ストラスブールの交通政策は利便性を高めるだけではなく、街の美化、渋滞の解消、街の活性化にとどまらず環境汚染の解決につながっている
今後は自分でも発想を広げて考えてみよう!
7つのターゲットに対して、その問題を解決するために日本を含めた各地でどのような取り組みがされているかも、書籍や京都市のホームページを参照して理解を深めました。
●参考にした文献等
『フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか』ヴァンソン藤井由美、宇都宮浄人(学芸出版社、2016)
→完全超低層車両、郊外住居者のための大型パークアンドライドの整備、パーキング料金と引き換えに1台に同乗している7人分までのLRT往復切符無料配布
→議会のオープンハウス、公聴会、ワークショップなどの頻繁な地域開催、コンセルタシオンでアーバンデザイナーに意見届ける
『未来を創る京都文化遺産継承プランの策定』
→文化遺産の保護、保っていくための努力の強化
『環境先進国ドイツの今』松田雅央(学芸出版社、2004年)
→都市中心部にある屋上緑地である地下駐車場のチューリップ公園
『地域・都市の社会学―実感から問いを深める理論と方法』平井太郎ら(有斐閣、2022年)
→都市での人のつながりの希薄化におけるセーフティネットの設計と補償
次回の講座では、SDGs#11のターゲットを理解したうえで、様々な事例と自分の住んでいるまちでの様子を比べてより深く考察してみようと思います。