SSR(高校2年生)ゼロカーボン -レクチャー
- 2021.09.28
- 授業
先日のオンラインでの講演では、京田辺市役所企画調整室の吉田さんにお話を伺った際に、2つの課題について高校生の視点からアイディアを出して欲しいというご依頼を受けました。京田辺市の「モビリティの改善」「ゼロカーボン」についてです。今日はその2つ目の課題「ゼロカーボン」について、西田教諭と佐藤教諭からそれぞれ課題解決のためのヒントとなるレクチャーを受けました。
課題2:ゼロカーボンシティを目指して
●ゼロカーボン、ゼロカーボンシティとは ・ ・ ・ 西田喜久夫 教諭
「京田辺市2021年2月12日ゼロカーボンシティ宣言」
2015年に合意されたパリ協定を受け、国は脱炭素で持続可能な社会への転換を実現するために、これまでの
枠組みにとらわれない社会的および経済的なシステム全体の転換が早急に必要であるとして、2020年に「2050年までに国内の二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」ことを宣言しました。そこで京田辺市では「緑に包まれた美しいまち」京田辺を次世代につなぐため、2050年までに
市内の二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を山城地域では、最初に宣言しました。
→クラスでは、スマートフォンで参加可能なクイズを使い、ゼロカーボンについて正しい知識を確認していきました。
「カーボン・ニュートラル」
カーボン、つまりCO2の排出について、人間は生活する限り多少減らせてもゼロにすることはできません。つまり、まずはエネルギーシフト等で排出量を減らす、そして木を植える、また新しい技術や科学の力などを活用し、排出した分のCO2を吸収する仕組み作りを進める必要があります。
●ゼロカーボンへ向けての具体例 ・ ・ ・ 佐藤友亮 教諭
主な3つの対応として、再生可能エネルギーへの転換、省エネと吸収に向けて、そしてカーボン・オフセットが挙げられます。
「再生可能エネルギー」
自然界によって補充されるエネルギー全般を指します。自然の力で定常的に補充されるエネルギー資源より発電などを行ない、しかも低炭素、永久的に使用することができます。風力/水力/太陽光/地熱/バイオマス等。
それぞれに優れた点、問題点があるので、その土地、状況に合わせた選択が必要です。日本は他と比べて、総電力のうちに占める再生可能エネルギーの割合が低く、再生可能エネルギーに転換できていない現状があります。
「再エネポテンシャル」
環境省の試算では、我が国には電力供給量の最大2倍の再エネポテンシャルが存在します。それなのに、発電コストが高い、安定供給が困難、エネルギーの備蓄が困難といった問題があり、再生可能エネルギーの最大限の導入に向け、課題をクリアしながら、着実に前進していく必要があります。
→経済産業省資源エネルギー省「なっとく再生可能エネルギー」サイトなども参考に学びを深めましょう。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/
「省エネと吸収」
国内でも2016年の電力自由化を受けて、どの電力会社を使うかは消費者が選択できるようになりました。電力の供給も、地中熱利用、ヒートポンプ、小水力、温度差熱利用、コージェネレーションなどの大きな設備を必要としない小さなエネルギーの可能性も広がっています。京田辺市でも「再エネポータルサイト」を設置し補助金等を案内、再エネを促進しています。また、コージェネレーションシステムにおいては、同志社大学理工学部との産学連携にも取り組んでいます。
「カーボン・オフセット」
温室効果ガス排出量の削減努力を行ったうえで、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った分の削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。排出量の全量をオフセットする「カーボン・ニュートラル」が注目されています。日本では、ふるさと納税の寄付の返礼品として、バイオマスエネルギー利用による二酸化炭素削減量でカーボンオフセットできる『オフセット・クレジット(J-VER)』を設けている自治体もあります。
●京田辺市にゼロカーボンの提案を検討してみましょう
生徒たちは講義を受けた後、世界や他の自治体の取り組みから、京田辺が目指すゼロカーボンシティに向けてどのような取り組みが向いているのか再びグループで話し合いました。これには、今まで調査してきた京田辺市の様々な特徴、まちづくりについて取り上げた課題図書、京田辺市役所の吉田さんの講演、また昨年の講座受講生による環境問題をテーマとした卒論集なども参考にしました。それぞれの対策をまとめて次回の講座で1人1人発表します。