SSR(高校2年生)ディスカッショントピック「都市の不平等」
- 2022.06.07
- 授業
『地域・都市の社会学』の第8章「都市の不平等はどのように進行しているのか」より、城村教諭によるプレゼンテーションがありました。今日は、そこからいくつかのディスカッショントピックについて話し合いました。各トピックでの生徒たちの意見をキーワードにして紹介します。
●ステータス・シンボルが「カプチーノ」であるようなライフスタイルを好むミドルクラスが、インナーエリアの都市再開発によって都心に回帰する現象について、良いと思う点、問題だと思う点はどのような点でしょうか。
良い点
地域の活力・価値・経済効果
資産の安定
治安の回復
人口増
地域への愛着の芽生え
悪い点
弱者(ホームレース)の排除
分極化
不安の広まり
●ジェントリフィケーションが「資本の都市への回帰運動」であり、インナーエリアを新たに商品化する動きであると考えると、結局このような再開発によって得をする人はどのような人でしょうか。逆に、こうした動きによって、排除された人びとはどこに行くのでしょうか。
お金のある人、お金を儲けたい人、資本のある人だけが得をする社会が成り立ち、排除された人たちは行き場を失い、また別のスラムができるだけ
●(農村などと比べて、)都市生活の長所とはどのようなものでしょうか。前回の授業の内容を踏まえて、改めて考えてください。
利便性のよさ
お金さえあれば全て手に入る
良い意味でも悪い意味でも異質性の高い
常に進化する
田舎がいい?都会がいい?
顔見知りの安心感を求める人もいれば、他人と関りを持ちたくないという人も
●どのようにして, (都市における)異質な他者とのつながりに頑健さ(レジリエンス)を装備したらよいと考えますか。
他者を受け入れる教育
他者とのつながりに目を向ける地域交流
他者の発言に否定的な態度を取らないコミュニケーション
意思決定手段の見直し
読書→異質な他者との対話
●富が商品として現れる街は、「豊か」なのでしょうか。「豊かでない」のでしょうか。どのようにして, 富が商品として現れない街をつくることができると考えますか。
貧富で生活の質の差があることは豊かか
お金を生む富は結局そこにある自然な豊かさ(そこにある富)を縮小させていく
(例えば、飲料水、空気、パブリックスペース、文化的価値など)
完全な商品化ではないバランス、融合が必要
人が選ばれる側ではなく人が選択のできるまちこそ「豊か」ではないか
人を遠ざける壁を作らない
●どのようにして, 街の未来について, 真に有効な問題解決策を考案・策定するために,意思決定の手続きを、洗練をすればよいと思いますか。
広く意見を取り込む仕組み作り
考える機会を多く作る学び
興味を持つ機会を増やす社会を創る
まちづくりについて学ぶ上で、ヒントになるキーワードや参考になる思考がたくさん詰まった本です。ディスカッションでは、考えたこともない視点を発見したことと思います。ここで考えて話し合ったことは念頭に置いておきましょう。残りの一学期の講座では、皆さんがそれぞれ本を読み進め、2人の教員が行ったように各グループがまとめて発表します。自分が興味を持ったチャプターを申し出て、分担を決めます。それぞれのチャプターごとのグループが決定すると、プレゼンテーションの日程を確認、段取りを整理し、グループ内で役割分担をしてスケジュールを組みます。
【プレゼンテーションの日程】 6月14日・6月21日・7月5日(一学期最終)