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SSR(高校2年生)モビリティの改善 -レクチャー

  • 2021.09.14
  • 授業

持続可能なまちづくりを学ぶ一環としていくつかのフィールドワークが計画されていますが、現在のところは新型ウィルス感染拡大の状況から引き続き延期となっています。その中で講座は様々な工夫をしながら進めています。前回のオンラインでの講演では、京田辺市役所企画調整室の吉田さんにお話を伺った際に2つの課題について、高校生の視点からアイディアを出して欲しいというご依頼を受けました。京田辺市の「モビリティの改善」「ゼロカーボン」についてです。今日はその1つ目の課題「モビリティの改善」について、西田教諭と佐藤教諭の2人からそれぞれ課題解決のためのヒントとなるレクチャーを受けました。

 

課題1:モビリティの改善 -京田辺市の交通を改善するためのアイディアを考えよう

 

● インセンティブを使った課題解決 ・・・ 佐藤友亮教諭

例えば課題解決のためによく使われる手段:啓発のためのポスター

→デザイン、洒落を効かせる等、人々の関心を集める工夫!

★影響力を与えようとした時

行動に無関心な人に呼びかけるよりも、誰もが自然とその行動を選択するような仕組みづくりをする

→多様で多数の人を動かす、行動を促す仕掛けが必要!


行動を促すためにはインセンティブという考え方は有効的な方法

事例1:4R(Refuse/Reduce/Reuse/Recycle)レンジャー「ゴミ削減」

ポスターを使った啓発ではなかなかゴミの削減には繋がらなかった…

→ゴミ袋有料化、ゴミの定額有料制の導入

事例2:航空会社マイレージ制「顧客の確保」

→次回のフライトがマイレージポイントで割引になる制度の導入


インセンティブ=誘因

社会活動をある行動に向かわせるための理由として、最終的には金銭面で有利になるような方向で行われる方策


5つの誘因

1 物質的「お金・モノ」

2 人的「人間関係」

3 評価的「評価・昇進」

4 理念的「企業理念・価値観」

5 自己実現的「夢・使命感」

その対象となる人や組織に対して、適切な時期に効果的な仕掛けをしよう。

 

● コンパクトシティの可能性 ・・・ 西田喜久夫教諭


電車・モノレール・地下鉄・ロープウェイ

メリット:交通状況の影響受けにくい

自動化しやすい

一度に大量に運べる

デメリット:自由さに欠ける

運行経費が高い


バス・自動車・自転車・バイク・セグウェイ!?

メリット:好きなところに好きなときに移動

運航経費が安い

デメリット:自動化が難しい

1度に運べる人数が少ない


陸上交通機関を比べてみる

既存の交通機関は、電車の路線が敷かれ各駅を起点に郊外へ伸ばしていく(どんどん外へ広がる)

★過度な自動車依存を抑制し公共交通を有効的に活用するためには

電車の路線を拡大してまちを郊外へと拡大させるのではなく、公共機関や買い物など人々の日常の生活圏をコンパクトに設計し、徒歩や公共交通機関で効率的に移動するまちづくり


コンパクトシティというまちづくり

事例1:バスのサイズを2種類に

従来のバスに加えて、小型車両を導入し、運行経費とCO2排出量を抑えつつ、人々の乗り

やすさや親しみやすさを実現

事例2:Park&Ride

まちの近郊に駐車場を設け、そこから市街地へは地域交通と連携


コンパクトシティ

高密度で近接した開発形態

公共交通機関でつながった市街地

地域のサービスや職場までの移動の容易さ

効率的で持続可能


地方都市でのコンパクトシティ構想でのメリット

1人口減少への対応:一定の範囲内で居住すれば、子育て、教育、医療、福祉など、どのサービスも効率的かつ安定して提供、まちの再活性化

2 財政難への対応:道路や上下水道の整備など、公共施設の維持管理を合理的に実施

3 防災:集住により、迅速かつ効率的な避難が可能

4 環境:過度に自動車に頼る状態から公共交通機関利用へとシフトできれば、CO2の排出低減へ

 

まちづくりの中で、人々が公共交通機関や自転車などをかしこく便利に使う方向へと自発的に転換していくことを促すことは、1つではなく多くの課題解決に繋がります。

次回は、生徒たちそれぞれが京田辺市のモビリティ改善についてのアイディアを発表します。