WWLニュース

WWL

SSR(高校2年生)渋谷区の取り組み/リサーチブックのテーマ

  • 2023.01.24
  • 授業

これまでにまちづくりの先進事例をいくつかリサーチしましたが、本日の3学期1回目の講座では、渋谷について坂下教諭をお招きしてお話を伺う機会を持ちました。タイムリーなことに、年明け早々にニュースで渋谷駅改良工事に伴う山手線終日運休が報道されていました。坂下教諭のご友人でオリンピックの有明体操競技場など数々の建築を手掛けられている高橋秀通氏に、まさにこの渋谷再開発に携わる企業のご担当者を紹介いただき、貴重なお話を伺うことができたのでシェアしていただきます。

 

●渋谷の課題

関東大震災後、街の発展とともに各鉄道事業者が路線を増やし駅舎を継ぎ足し続けた結果、線路やホームが複雑に入り組み動線の混乱した状態に。建物も50年以上経て、その老朽化に加え、谷である土地の特徴から水没などの弊害、地震や災害時の備えの脆弱さも問題になっていました。

●日建設計が課題に対して行った取り組み

渋谷駅は、現在こういった問題を改善するのに大改修が行われています。渋谷駅の特徴として利用する人の目的が多様であることから、属性による誘導ではなく、誰もが行きたいところにストレスなく移動する手段として、「アーバンコア」による上下移動の動線を採用しました。また周辺では宮下公園の整備も行っています。公共と民間双方の経営能力および技術的能力を活用して行う手法を取り入れました。協力してやっていかない限り開発は不可能と考えました。また渋谷未来デザインや渋谷駅中心地区デザイン会議など、学識委員、地元代表委員、行政委員が参加する委員会により、様々な立場の人が集まて意見やアイディアを出し合い方向性を決めていきます。

●HIGH LINEとは?宮下公園の特徴

HIGH LINEとは、ニューヨークでかつて物流に使われ廃線になっていた2.3キロに及ぶ高架の線路を、取り壊すことなく歩く公園として生まれ変わらせたもので、街のオアシスとなっています。造園デザイナーなど民間の人たちも多く関わってデザインされました。それにより、寂れていた周辺地域の治安も回復し人の往来が活発になりました。

一方高架ではありませんが宮下公園は昭和中頃から2階建ての立体公園でした。その後平成になってから、大手スポーツメーカーの買収により一時は「ナイキパーク」としてスポーツ公園に変更されました。そういった歴史を経て今回の整備では、4階建て、下層にショッピングモールと併設した多機能な公共空間へと生まれ変わりました。最上階の公園は渋谷カルチャーの象徴であるスケートボードの広場、他にボルダリングウォール、多目的運動施設、そして自由にくつろげる約1,000m²の開放的な芝生広場にかかる緑のアーチがシンボルです。

●お話を聞いて

奈良の猿沢の池や宇治の平等院のスターバックス、観光名所や公園に突然できるおしゃれな外資系チェーン店が増えています。集客を目的とした安易なアイディアのようにも感じますが、今日お話にあった渋谷大改修でも取り入れられたPFI(Private Finance Initiative)という手法は広く一般的になってきました。民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用した公共事業の手法ですが、あくまで地方公共団体が発注者となり、公共事業として行うものです。まちづくりにおいても、まだまだ課題が多くあります。皆さんが社会人となり民間企業に入ってもこういった事業と関わる可能性が大いにあると思います。どのように生きていこうか、今から多くの事例に触れ、考え学ぶことは大変有意義だと感じています。

 

●リサーチブックのテーマ

2時間目は、2学期の続きとしてリサーチブックのテーマについて議論してきた内容を、新たに冬休みに調べたことを交えて各グループで話し合いました。それぞれ熱心に意見交換をしていました。最後には、まとめた結果としてどのようなことをテーマとしたいかを発表し、全体で共有しました。



~テーマの例~

海外の政策は日本のまちづくりに適応するか

まちづくりのコンセプトを多方面からみる

ヨーロッパの街並みと京都の比較

バルセロナの市民参加型、市民中心のまちづくり

海外と日本の地方でのまちづくりの違い

学生の参加できるまちづくり

市民の意識とまちづくり

SNSの意見を取り入れやすいまちづくり

誰もが暮らしやすいまちづくり

伝統を残したまちづくり(伊根町の例)

シビックプライド

公共施設とまちづくり