SSS(高校1年生)京田辺市長の講演に向けて/まちづくりの先進事例~徳島県神山町、東京都渋谷区~
- 2023.10.19
- 授業
前回の講座では生徒ひとりひとりが「まちの魅力を伝えるスライド」を発表しました。次回の講座ではまちづくりへの理解をさらに深めていくため、私たちの学校の所在地である京田辺市の上村市長をお招きし、京田辺市のまちづくりについて講演いただきます。今日はその準備として京田辺市出身の北川教諭より京田辺について話を聞き、続いて徳島県神山町と東京都渋谷区のまちづくりの事例について話を聞きます。
● 北川教諭「京田辺市について~京田辺市長の講演に向けて」
最初に京田辺市の歴史をたどり、どのようにまちが変化していったかみていきます。
【京田辺市の人口と歴史】
・1906年 田辺村から田辺町が誕生
・1964年 東京オリンピックの年 人口 約17,000人
・1980年 同志社国際高等学校創立 人口 約40,000人
・1997年 京田辺市誕生 人口約50,000人
・2002年 三山木駅の高架化 人口約60,000人
・2023年 人口約74,000人 現在も人口は増加し続けている。
まだ自動改札がなかった昭和時代の三山木駅や夏に木津川の河川敷に露店が並び、多くの人が川遊びをしている様子の写真など、当時の様子がわかる写真が紹介されました。1980年代には私たちの学校や隣接する同志社大学、同志社女子大学が建設され、多くの学生がこのまちに通うようになったことが京田辺市の発展につながっていることもわかりました。先生の話を聞き、私たちが通う京田辺市により親近感を感じることができたのではないでしょうか。次回の京田辺市長の講演がますます楽しみです。
● 吉田教諭「まちづくりの先進事例~徳島県神山町~」
次は徳島県神山町のまちづくりについて吉田教諭から話を聞きます。大阪から高速バスで1時間半、徳島市内から車で45分の場所に位置し、人口は約5,000人で消滅可能都市のひとつとされる神山町。このまま人口減少が続くと学校の分校が廃校になり、バス等の公共交通機関の廃線、ケーブルテレビ事業の撤退、サテライトオフィスの撤退、行政業務の維持が困難になるなどの危機感が迫る中、まちを変えていこうと人々が動き、その取り組みが大変注目されているまちです。
神山町生まれの大南信也氏がキーパーソンとなり、2004年にNPO法人グリーンバレーを立ち上げ、「日本の田舎をステキに変える!」をミッションに神山町で新しい事業を展開したまちづくりに取り組む。
→人々を魅了し、都会から若者が次々と移住してくる!
【神山町が魅力的なまちづくりのために柱としている6つの働きかけ】
① すまいづくり
② ひとづくり:神山まるごと高等専門学校の開校など
③ しごとづくり:サテライトオフィスの誘致。神山塾(企業支援プロジェクト)の開催など。
④ 循環のしくみづくり:「フードハブ」の設立。地産地消ができる仕組み作り。農業体験、食育など。
⑤ 安心な暮らしづくり:神山塾による支援。
⑥ 関係づくり:移住してきた人とその土地に住んでいる人との関係が豊かで開かれている。神山つなぐ公社。
【新しく創造されたビジネスの事例】
えんがわオフィス/B&B/栗カフェ/靴リヒトリヒト/KAMIYAMABEER/Week神山 他
小さいまちであっても、様々な分野においてイノベーションを起こすことにより持続可能なまちづくりが可能になることを神山町の事例から知ることができました。次は人が多く集まる東京都渋谷区の事例についてみていきます。
● 坂下教諭 「まちづくりの先進事例 ~東京都渋谷区~」
渋谷区の人口は約24万人と東京23区の中では決して多くはありませんが、渋谷駅は世界第2位の利用者数を誇り、多くの人が集まってくるまちです。すでにまちの開発はされていますが、老朽化が進んでいるために様々な問題を解決しようと再開発が行われています。どのように取り組みがなされているかみていきましょう。
【渋谷再開発について】
話を聞いた人:金行美佳さん(日建設計・都市計画担当)
・渋谷再開発は100年に1度といわれる大改造:
関東大震災後、各鉄道事業者が路線を増やし、継ぎ足しで駅舎を建設して混乱した動線となる。また老朽化や谷になっている渋谷駅の土地の形状による弊害、地震や災害時の備えの脆弱さなど街全体を再構築する必要性が出てくる。
・委員会の発足、公共施設と民間の力を活用:
渋谷区は個人所有の土地は少なく、多くは東急グループのものであり、協力的に再構築が可能。渋谷区役所、東急、日建設計による委員会を立ち上げ、都市計画の研究者の意見も参考にして再開発計画を進める。国や地方公共団体の事業コストを削減し、より質の高い公共サービスの提供を目指す。
・アーバンコアによる上下移動:
渋谷に集まってくる様々な人が行きたいところにストレスなく移動できるように考えられたのが、渋谷の地形(谷)を利用したアーバンコアによる上下移動ができるビルの建設である。
・宮下公園の改修:
渋谷駅の北側に位置する全長330mの宮下公園はニューヨークのハイラインを参考にして改修され、MIYASHITA PARKとして生まれ変わる。
先日ニュースで、渋谷駅の山手線内駅改良工事をするため、列車が運休することが報道されていました。この工事は渋谷駅周辺のまちづくりの一環として快適な駅空間を確保するために行われています。
渋谷区のように、人口過密という課題を解決しながらまちづくりをすることが楽しいと思う人もいれば、神山町のような過疎地域で工夫をしながら暮らすことが楽しいと思う人もいます。ひとつの答えがあるわけではなく、様々なアプローチがあり、それぞれのまちが将来を考えて独自に取り組みをしているところがとても面白くもあります。これらの先進事例や自分たちが調べたまちの課題や取り組みを比較検討して、私たちはいろいろな角度からまちを見て、課題を解決していくことができることを知りました。そして将来どのようなまちに住みたいのか、またどのようにまちづくりに関わっていきたいのか、これから考えていくことは大変有意義だと感じます。
【今日の課題】
これまでまちづくりについて学び、感じたことから、京田辺市長への、京田辺市の政策に関する質問を考えましょう。