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SSS(高校1年生)シビックプライドと住んでいる(いた)まちの魅力

  • 2024.07.11
  • 授業

前回の講座では大阪公立大学の武田重昭先生が遠く離れたベルギーとオンラインでつなぎ講演を行っていただき、生徒たちはシビックプライドとまちの魅力について考える貴重な機会を得ました。今回の講座では、その講演や1学期の講座を教員とふりかえり、最後に夏休みの課題の説明を聞いて1学期の講座を締めくくりました。

 

●武田重昭先生講演のふりかえり 帖佐教諭

皆さんが提出してくれた講演のコメントの中には、講演の内容から発展させて、いろんなことを考えたり、これまでの授業の取り組みとつなげて考えられていました。まちづくり、まちに対する見方や意識が変わった、これからの自分のまちの取り組みに役立てたいといった前向きな感想が多くみられました。コメントの一部をご紹介します。

 

私は先生の講演を聞くまで、活気ある、憧れる街はその街自体に価値があり、街がキラキラしていると考えていましたが、先生の「良い街とは街がキラキラしてるのではなく、人の生活がキラキラしてみえる」ということを聞き、納得した自分がいました。つまり、街は人の生活をサポートするものだというのを知りました。そして、そういう街を作るのには人々の動きやお互いのコミュニケーションが必要であり、広場を使ったイベントや車道を歩行道路にしたり、人が自然と人と関われるような環境を市民が積み重ねていくのが大事だと気付かされました。
私は京田辺市に住んでいるのですが、小学6年生の頃、紙ごみの分別を推薦するポスターを京田辺市役所の公式Facebookに載せてもらったことがあります。その時に市役所の人とコミュニケーションをとり、より良い街になるようにと行動したことを思い出しました。高校生の谷さんの行ったワークショップなどの行動を聞いて、何もできないと思い込んでいた自分に可能性を感じることができました。今の日本は十分に市民、住民が希望を言い出せない環境、国民全体の考え方、雰囲気があると感じているので、これからの日本では積極的に人と都市とがコミュニケーションをとり、理想のまちづくり、自分や町のことが好きになれる良いまちづくりができる世の中になればいいなと思います。
今回の講演を聞いて思ったことは大きく分けて二つあり、一つ目はまちづくりを権力のある人だけに任せないということです。講演の中で武田先生は弱いネットワークをたくさん作り街を作る方が1人の権力者が支配して作るより良いと仰っていました。また、リーダーシップよりフォロワーシップを重要にすべきだとも仰っていました。私はこれに非常に賛成して、またまちづくりには私もその土地に住む一員として積極的に参加するべきだと思いました。今まで街は誰かが作ってくれると思っていたり、まちづくりは私には関係ないと思っていましたが、やはり市民が住みやすいと思う街にするには何が必要か、Molen west の例のように意見を出し合い、自分たちでやりたいことを作っていく姿勢が重要だと感じました。二つ目はコミュニケーションを大切にするということです。
ただでさえ日本は自分のまちに対するシビックプライドがなく、自己肯定感が低い人が多いので、パブリックライフが盛んなまちが日本にもより多くあったら良いと思いました。武田先生のお話の中で一番驚いたのが、シビックプライドやパブリックライフは時に人の命を助けられるということです。愛する人と愛する場所があれば、自分も愛せる、「ここにいる私の性格が好き」と思えるようなまち作りをしてみたいです。

 

●「自己紹介」の分析 谷口教諭

第1回SSSの講座の時に生徒の皆さんに答えてもらった「自己紹介」のアンケートについてテキストマイニングという手法を用いて分析をしました。テキストマイニングとは、データマイニング(機械学習や統計解析によって有益な情報を得ること)のうち、テキスト(文章)を対象として分析を行うものです。自由記述で答えてもらった回答の中でよく出てきたテキストが画面上に大きく表示される仕組みです。インターネット上のサイトで誰でも利用できます。このような分析方法があることを知り、研究を進めるにあたって、ご自分の1つのアカデミックスキルとして活用してください。

 

●アンケートに取り組む際の注意点 坂下教諭

今回生徒の皆さんにアンケートに答えてもらい、谷口教諭から面白い結果を見せてもらいました。これから生徒の皆さんがアンケートを作ったり、答えたり、その結果を見るときに注意をしてほしいことがあります。例えば大学の満足度ランキングのアンケートで、理由が「焼きたてのパンを食べられるから」といった理由の場合、大学の本質的なところが見えてきません。アンケートを作る際にはその本質的な良さを引き出し、うまく自分の資料にできるように心がけてほしいと思います。アンケートの意図が伝わり、答えてもらっているかというような懸念もありますので、これを決定打にするのはよくありません。世の中のアンケート内容や結果もよく見ると、不思議なことがあります。そのような視点を持ってほしいと思います。

 

●夏休みの課題について 吉田教諭

夏休みの課題は、自分の住んでいる(住んでいた)まちの魅力、またはお友達が住んでいる(住んでいた)街の魅力を伝えるスライドを1枚作成することです。まちが重点的に取り組んでいる政策や課題を入れて、観光案内などではなく、「住む」という視点でまちの魅力を伝えるスライドにしてください。夏休み明けに、授業でプレゼンテーションしてもらいます。日本語でも英語でもOKです。いいなとおもったまち、魅力的だなとおもったまちを取り上げるようにしましょう。

 

●課題の提出について 朴元教諭、北川教諭

夏休みの課題はグーグルクラスルームに提出してもらいます。夏休みの間に海外に行ってグーグルにアクセスできない生徒は注意してください。また1学期のSSS講座で配布したワークシートは記入をして2学期の最初の講座日に提出してもらいます。欠席をしていた講座は動画を見て取り組んでください。

 

夏休みは自分たちが住んでいる(住んでいた)まちや興味をもったまちについて見聞を広げるチャンスです。1学期の講座で学んだことを振り返り、まちの魅力を効果的に発信できるスライド作りに取り組みましょう。