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SSS(高校1年生) In Class Presentation

  • 2025.02.07
  • 授業

これまでに京田辺市へ政策提案をするためにグループで話し合い、発表のために準備をしてきました。今日は各クラスで、すべてのグループがプレゼンテーション形式の発表を行いました。また聞いている生徒たちは評価表に沿って記入し、その評価をもとに投票した形となって、後日代表チームが発表されることになっています。

 

●クラス内発表

発表はスライドを使い、3分以内で課題の提起から政策の提案内容まで説明をします。

●発表の評価ポイント

生徒たちの手元には評価シートがあり、発表を聞いて評価の観点を考慮してメモを取ります。最後には、全体の評価を振り返り、総合的にクラス代表としてふさわしい政策案をひとりひとりが決定して提出します。

評価項目:実現性・実用性/費用対効果(効果・コスト)/独自性(独創的・画期的)/公平性・平等性/将来性(持続・維持)

 

●発表 - ここではF組とD組の一部の発表をご紹介します。

【未来へ走れみどりばす】

京田辺は田舎だという心象があるが落ち着いた静かな街並みが魅力ともいえる。そこで街の雰囲気を守りながら静かで環境負荷の少ない最新の電気自動バスを走らせることを提案します。街の課題をバスの路線や本数の少なさによる不便さ、そして対外的な街の認知度の低さと捉えました。資金面では、燃料の電気への移行による燃料費削減と自動運転による人件費削減に加えて、国からの補助金、スポンサーからの広

告収入、運賃、また電気ステーションの貸出しをすることでも収入を見込みます。初期費用はこういった収入が合計2億9千万円を見込んでいて回収できると試算しました。利点としては、利便性の高まり、経済活動の活性化、電気バスに加えて電気自動車も増えることを見込んだ自然保護、なにより静かな街と未来のモビリティという新しい街の付加価値が生まれ、シビックプライドも向上すると考えました。京田辺市が開催した市

民みらいミーティングのテーマのひとつで、「公共交通の充実に取り組むこと」を目的としたキャッチフレーズ「便利でええやん京田辺」にも沿った提案だと考えます。

 

【スポーツイベントの提案~地域の絆を深めよう~】

よりよい地域づくりを目指し、ミニ運動会の定期的な実施を提案します。運動不足や人の繋がりの希薄化による将来の不安、街に設備が整っているにも関わらずそういった公共の場をうまく活用できていないことを課題と捉えました。運動会では地域内のコミュニケーションによる人の繋がりができ、それによる災害時の安心感、幸福度や住みよさの向上による満足度が得られることが期待されます。その他、運動施設や施設周辺の店舗などの収入の向上による経済活動の活発化も見込んでいます。市民の繋がりを維持できるか、一度きりのイベントではなく継続性が重要だと考えます。既存の公共スペースで幅広い年代が集まって交流できる場を作り、多様な市民同士のつながりを構築していくことを目指しています。

 

【京田辺で高齢者に第二の青春を】

現在の京田辺市の高齢者のための場所作り政策に加えて、さらに政策を充実させるための老人学校の開校を提案します。高齢化は京田辺市に関わらず社会の大きな課題です。健康寿命を延ばすことが課題であり、増えている高齢者の孤独死、またその孤独が死因の大きな理由の1つでもあることに注目しました。老人学校は、誰もが感じるどこかに所属しているという安心感、そして敢えて老人ホームではなく学校であることで高齢者がはつらつと過ごす場所になります。授業では健康作りも考えます。京田辺市には2万人の高齢者がいて、入学者の確保は十分できると考え、中心部の自治体の既存の施設を利用し教員は高齢者の方であっても良いし地域のボランティアを募集します。高齢者となっても社会活動に関わり活き活きと過ごすことができる場所の提供、合理的配慮のある街になってほしいという願いを込めています。

 

【TANABE SPOT PROJECT】

京田辺市における災害時の電力復旧までの対策の強化を図ることを目的とし、インテリジェント照明の設置、普及を提案します。近い将来に、巨大災害、南海トラフ地震の発生が危惧され、また気候変動による自然災害は毎日のように起こっています。街の災害対策の充実は市民に安心感を与えるばかりではなく、街の価値も高めると考えました。インテリジェント照明は、災害時はもちろんさまざまな制御が可能、暗い場所ではさらに明るくといったことも可能にします。また耐久性が長いので持続可能性があることが利点ですが、初期費用は通常の電気と比べると照明器具費用が3倍、設置費用が2倍かかります。その問題は、エネルギー効率が高くエネルギー消費が低いという特徴があることから将来的にはコスト削減が期待できると考えています。また工事においては設置の場所や明るさの影響などから住民の方たちとのコミュニケーションが不可欠な点も利点です。

 

【Green Action by MoriMoris】

美しい田園都市である京田辺市において自然保護の視点からよりよい生活環境の改善策を提案します。京田辺市は2050年までに市内の二酸化炭素排出量ゼロを目指すゼロカーボンシティへの参加を表明しています。そこで京田辺市独自といえる対策「Green Action」を考案し、市民が誇りをもって取り組むことを目指しました。具体的には、既存のアプリ「一休さんポイント」を利用し、そこに2つの機能を追加したいと考えています。アプリ内で溜まったポイントは加盟店で使う以外に京田辺市内の公共交通での移動料金の補助となり、また歩く、公共交通を使う、草花を育てる、といったCO2削減になる行動をすることでもポイントが加算される仕組みです。既存のアプリを使うことで経費はほとんどかからず、課題であるアプリの認知度の低さと、高齢者がアプリを使いこなせていないという点は、市と協力し公共スペースでのアプリの広告や紙ベースのクーポンを併用することで解決できると考えています。

 

【京田辺の子供たちに明るい未来を】

京田辺市の子供たち、学生が自宅以外で勉強するスペースがほぼないことを課題と捉え、誰でも使うことができる勉強スペースをつくる提案をします。こういったスペースは、利用者どうしの交流や繋がりを生み、相談したり良い刺激をもらったり、がんばろうという学習意欲の向上が期待できます。現在は、図書館では自習が禁止、スタサポという施設ではオープンは週2日のみで人数や時間の制限があります。もちろんカフェでの勉強はお金もかかる他、小中学生には向いていません。勉強スペースをつくるにあたり生じる問題の解決としては、認知度を上げるためにSNSの活用、また実際に小中高を訪問して告知する、そしてスムーズな運用のためにも学年で利用時間を分ける(早い時間は小学生など)、また場所は公民館など公共の施設を間借りし、運営にあたるスタッフは教育学部などの学生を中心としたボランティアを募り持続可能な運営ができると考えています。

 

【京田辺市観光】

京田辺市の活性化を考え、観光に注目しました。京田辺市を訪れる観光客はまだ近隣地域と比べて少ないことを課題と捉え、その理由を市では認知度が低い、魅力を十分にPRできていないと分析しています。そこで集客につながるSNSを活用した四季折々の企画の発信を提案します。春は馬坂川の800mにわたる桜並木で夜桜鑑賞と玉露アイスを楽しむ、夏は田辺公園での茶文化を知る体験型のお祭り、秋は一休寺での紅葉のトンネル鑑賞と玉露を味わう、そして冬は田辺公園で京田辺ならではのデザインを模した幻想的なイルミネーションの鑑賞など、各季節の京田辺の魅力を発信します。SNSで拡散してくれた人には抽選で特産品をプレゼントし、周知される工夫をします。既に京田辺市にある文化的な遺産や特産品、また施設を利用することで大きな初期投資もいらず、イベントにかかる費用は一部税金、参加企業からの協賛金、出展者からの協力金を得ることで、一丸となって市の魅力を発信します。

 

●発表を終えて

一部の紹介でしたが、すべてのグループが自分たちの発案し考えた提案を緊張しながらも、全員が全員の前で発表するといった貴重な経験となりました。厳しい質問もありましたが、懸命に答えるも困る場面がありましたが、どの提案にもまだまだ改善の余地もあり、課題を解決していけば、よりよい提案となる発表ばかりでした。

 

【教員より】

質疑応答は違った視点に気付く貴重な機会。提案するにあたっては、こういうことを知っておかないといけない、こういうことを準備しておかないといけないと気付かされることも多かったと思います。当たり前のことをするのではなく、新しい工夫といった想像力も必要です。これから何か企画する際に、この経験がよい練習となって必ず生かされるときがくると思います。大変な思いもしながら、皆さんの発想から素晴らしい提案が生まれる可能性が秘められています。


今後の予定

評価シートを集計後、クラス代表のチームが決まります。代表になったチームは、今日のクラスメイト達からの意見を参考にさらに内容をブラッシュアップして、来月の全体発表の準備をします。全体発表には京田辺市役所市民参画課の職員の方にもお越しいただき、提案を直接聴いていただく大変貴重な機会となります。