WWLニュース

WWL

SSS(高校1年生)まちづくりの先行事例 -神山町(徳島県)

  • 2022.10.22
  • 授業

前回の講座では、生徒たちがそれぞれの街についてパワーポイントを作成し、全員が、そして選ばれた代表によるプレゼンテーションを行いました。改めて身近な街のことを考える良い機会になったと思います。これからは、この講座の担当教員がフィールドワークの候補地として訪ねた街、都市、地域のまちづくりの先行事例を紹介していきます。あえて様々な規模の街を対象としていますので、比較的人口の少ない街から、規模の大きな街へという順番で進めます。自分たちが調べた街の課題や取り組みとの比較検討において、関心を持って聞いてください。

●神山町(徳島県)の事例

神山町を訪ねた吉田教諭と松野教諭からお話を聞きます。神山町は、徳島市内からも車で45分、周囲を標高1000メートル級の山々に囲まれた場所に位置し、誰がここまで来る?と思わせる山深い道中だったそうです。なぜそのまちに移住者が押し寄せ、サテライトオフィスが増え続けているのかとても興味が湧きませんか。

【神山町の課題】

人口減少:以前には「消滅可能都市一覧」の20位にランクされています。人口減少は公的なサービスの削減となりさらなる人口減少を招き、確実に街の消滅に繋がります。

【対策】

サテライトオフィスやアーティストの誘致:30年前にこの町に戻った大南さんがキーパーソンとなり、自分のまちを面白い場所にしたいという思いから、シリコンバレーをイメージしてNPO法人グリーンバレーを設立しました。できない理由よりできる方法を考えるとモットーのもと、ミッションを「日本の田舎をステキに変える!」としました。Wi-Fiなどの環境を整え、自然の美しさという神山らしさを最大限にアピールし、そこで仕事や創作活動ができるギャップで新しい世代の価値観に訴えかけました。集まり始めると、同じようにそこで刺激を受けたいという相乗効果で移住者が増え、多様な人の知恵が融合する場、創造的過疎による持続的な地域づくりを実践しています。

【具体的な取り組み】

アーティスト・イン・レジデンス(KAIR)/サテライトオフィス支援事業/アドプト・ア・ハイウェイ神山/Bed&Studioプログラム/神山塾/神山町移住支援センター委託管理/コワーキングスペース「KVSOC神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス」や「神山農村環境改善センター」の指定管理事業/森づくり事業/その他神山が神山であるための事業の運営など新規事業開発中

【新しく創造された新しいビジネスの事例】

Hidden Library/えんがわオフィス/神山しずくプロジェクト/B&B Onywaのカフェオニヴァ/栗カフェ/靴リヒトリヒト/KAMIYAMABEER/Week神山 他


神山町が魅力的なまちづくりのために柱としている6つの働きかけ

1すまいづくり

神山町の木材を使った住宅など

2ひとづくり

神山まるごと高等専門学校の開校など

3しごとづくり

神山塾でのレクチャーを通した新規事業開拓など

4循環のしくみづくり

FOOD HUBプロジェクトの地産地消で神山の農業を次世代につなぐ取り組みなど

5安心な暮らしづくり

神山塾での滞在型職業訓練等

6関係づくり

新しい取り組みなど住民が関わる物事の決定のプロセスを大切に


●番外編(徳島は他でもすごい!)

同じく徳島を訪問した北川教諭より、徳島県でのその他のおもしろい取り組みの紹介がありました。

【勝町の「ごみゼロ」】

20年前にごみゼロを宣言、ホテルを兼ねたゴミ収集ステーションを中心に活動を広げる。2020年にはごみリサイクル率80%を達成(全国平均19%)。

また高齢者向けの仕事として葉っぱビジネスを展開、システム化し全国の料亭などを対象にしたビジネスに発展させ大成功している。豊かな自然が宝の山であることを証明し、住民の多くを占める高齢者の就労意欲の向上、シビックプライドの向上にも貢献。

【木頭地区の「未来コンビニ」】

コンビニなどあるわけのないような田舎に未来的なコンビニを建設したことで、地元の子供からお年寄りまで住民の集う場所作り、そして話題を呼び、遠方からも何万人という人が訪れる場所に。ここからこの次のアクションが始まることを期待できる。

 

それぞれの村がそれぞれの村の将来を考えている独自の取り組みがとても面白い。それを参考に皆さんにもいろいろ考えてもらえたらいいと思います。