SSS(高校1年生)フィールドワーク①近江八幡の場合/ポスターセッションの概要と事前に考えること
- 2021.09.11
- 授業
前回の講座では、持続可能なまちづくりを学ぶ一環として、実際に現地へ行って学ぶことの意義を知り、またそのフィールドワークの6つの候補地について説明を受けました。生徒たちはどこに行ってみたいかをイメージし始めているかも知れません。今日の前半は、候補地の1つである滋賀県近江八幡市について、事前にリサーチを行った帖佐教諭と朴元教諭よりお話を聞きました。そして後半は、これから自らのリサーチが進めばより必要なスキルとなるプレゼンテーションについて学びます。
【近江八幡市】
● 概要
位置:滋賀県のほぼ中央に位置、琵琶湖の東岸
発展:古くから農業を中心に栄え、中世以降は陸上と湖上の交通の要衡という地の利を得て、信長の楽市楽座、秀次の自由商業都市と引き継がれ、近江商人の基礎を築くまち:歴史的遺産、風情が薫る景観が受け継がれている
● 近江商人、ヴォーリズ
近江商人の家訓:「三方よし」時代を超えた普遍の価値
商いというものは、買い手によし、世間によし、すなわち取引が地域社会全体の幸福につながるものでなければいけないと共存共栄の精神→まちづくりのキーワード
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ/一柳米来留(1880~1964):アメリカで建築家、キリスト教伝道師、来日し英語教師、理想郷の建設に向け伝道団体「近江ミッション」を設立、多くの社会奉仕活動では結核療養所であるヴォーリズ記念病院、ヴォーリズ学園の設立
同志社との関係も深く、今出川キャンパスの啓明館、アーモスト館、新島遺品庫を設計
なぜヴォーリズは近江八幡にとどまり続けたのでしょう?近江八幡の歴史、近江商人の精神とキリスト教などの関わりを考えながらヴォーリズ建築をみて、まちをまわるとその理由が見えてくるかも知れません。 |
● 近江八幡市の取り組み
市役所:SDGsの実現に向け、自治体レベルで取り組みを進めるため平成29年4月に「近江八幡市SDGs推進本部」を設置
SDGs取り組み事例集の発行/近江八幡未来キャンパス2020
→伝統あるまちを継承していくために、高校生からまちの未来をデザインし地域を好きになる講座を実施
ラコリーナ近江八幡:農作物などの原材料を「お菓子」に仕上げ商いをするたねやグループもまた近江商人の哲学を受け継ぐ
本質的に自然と共生し、持続可能な社会を実現
目先の利益を追わず、50年後、100年後に豊かな大地に人々が集う幸せな暮らしをイメージ
ボーダレス・アートミュージアムNO-MA:リーフレット「やさしい美術館ガイド」を発行、誰でも見やすく最初に手にするものから既にコンセプトを感じ取ることができる
地域住民との関係性を大切に育む
教育機関と連携して地域やNO-MAの作品の魅力を多く伝える
あらためてボーダレスや共生という言葉について、そして”co-“という言葉について考えてみて下さい。 |
まちづくりは誰かが勝手にしてくれるものではなく、どのように関わっていくのか、どの世代も話しの輪に加わり、多くの意見が集まることがよいまちづくりに繋がっています。1つの例として近江八幡市について学ぶことは、新しい視点に気付かされるはずです。
【ポスターセッションの概要と事前に考えること -プレゼンテーション】
● 何のためのプレゼン?
目的が一致しているか重要
● 発表の手段
口頭発表の中のポスター発表/ポスターセッション → 今日の講義のメイン
● ポスターセッションとは何か?
・発表内容を1枚のポスターにまとめて会場内に 設置し、来訪者に口頭で説明や質疑応答を行う
・会場内には同時に複数の発表者がいて、来訪者は自由に見て回り、説明を聞いたり質問をする
・一定時間ごとに時間を区切ったセッション形式にして発表者も他の発表を聞く
● 発表の前に確認すること
・どんな場で発表するのか、会の目的は何か?
・指定や推奨された様式があるか?
・発表を聞く人はどんな人たちか?
・発表を通して伝えるべきことは何か?
・話し手、聞き手にとってのメリットは何か?
・聞き手に期待することは何か?
・手段に何を用いるか十分に検討したか?
● ポスター発表の当日まで
- 事前の確認(様式やサイズの指定/手書きか電子か/提出締切期日やポスター運搬方法)
- 内容(会の趣旨に合うか/聞き手を想像して分量や難易度、表現は適切か)
- 作成作業(見やすさ、わかりやすさ、倫理的か/伝わるべきことが伝わるか/質問と解答の想定)
最後にポスターの例をいくつか確認しました。リサーチしたことを、ポスター発表として最善の形で伝えるためには、丁寧な確認と作業、そしてきちんと段階を経て進めることが必要だということ、その手順を学びました。