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SSS(高校1年生)1年間の授業で学んだことの振り返り

  • 2023.02.25
  • 授業

SSSの最後の課題は、1年間の講座で学んだことをミニレポートにまとめることです。今日は教員の話しから3つの観点について振り返ります。1年間の授業の内容を思い返し、改めて学んだことを復習して欲しいと思います。お話から一部抜粋して紹介します。

 

●知識・内容について -朴元教諭(1学期)・吉田教諭(2学期)

1学期は基本的なことを学びました。SDGsについてよく見聞きするようになったころ、私たちはその17の目標のなかの「8 住み続けられるまち」について問題解決を考えることにしました。そのために、学校外からまちづくりや公共空間デザインの専門家である武田先生に直接お話しを伺うことができました。どういった視点でまちづくりと向き合うのかを学び、キーワードとして「civic pride」という言葉が印象に残っているはずです。

2学期は、実際の街づくりの先行事例について具体的なまちの取り組みを学びました。教員も役割分担、それぞれの教員が実際に訪れたまちのレポートを聞きました。地域は全部で6カ所ありました。神山町、上勝町、岡山市、富山市、京田辺市、渋谷区です。それぞれが異なる課題を抱え、そして異なる独自の取り組みをしていました。移住者の受け入れ、住民によるビジネス、人を中心としたメイン通りの整備開発、効率的で健康的なまちづくりのコンパクトシティ、郷土愛、公園や駅の整備による100年に一度の再開発などそれぞれ思い出されると思います。他の取り組みから学ぶことはたくさんありました。行政と住民がつながること、人と人との繋がりの大切さは特にどこの地域でも印象にあると思います。高校生であっても市政にその意見を反映させることができるということも学びました。

●アカデミック・スキルズについて -坂下教諭(講演の聞き方と探求の流れ)・松野教諭(発表の際の資料作成について)

問題解決は、思い付きやひらめきだけではできません。論理的に物事を分析し、その分析をもとに説得し納得してもらうということが大前提です。そのための手法があることを学びました。実際に話しを聞くというのは、とても有効な資料となりますが、そのための準備や聞き方次第でずいぶんと理解力に差がついてしまいます。しっかりと準備をして、初めて、話しを聞くことによる新しい発見や、研究者の思いを知ることができます。

探求の流れとしては、取り残さず問題を分析する、どういう風にリサーチを進めるか、そして批判的な思考も大切に考え、話し合いを重ね、構築していく作業がありました。失敗も経験の1つ、経験を積んで、他者からも学び、今後もトライをして欲しいと思います。この探求のプロセスは、自分の意見をしっかり伝えるための重要なものなので、今後も自分のため、社会のために役立ててください。

発表のための資料の作成では、さまざまな実際の例を紹介しながら、パワーポイントの構成やデザインの工夫について学びました。誰のための何のための発表か明確にすること。基本を知ってスライドの第一印象に気を配ることはとても大切です。またここで学んだことは、これからの多くの場面で、必要になってくるスキルですので活用して欲しいと思います。

●社会との関りについて -北川教諭・帖佐教諭によるディスカッション形式にて

帖佐「チームティーチングを実践していますがSSSと教科の関りについてどう思いますか?」

北川「私の専門は美術科ですが、データ処理、パワーポイントのデザイン、問題解決もやはり教科と関係しています。他に理科や社会、情報や家庭科においても、ぞれぞれの特色を活かし授業に取り込んでいたと思います。教科を超えた視点でさまざまな立場の人の意見を共有できたことも重要な経験だったと思います。」

帖佐「自分の意見も大切にしながら、いろいろな人たちの話を聞き、また話し合ったことはすごくよかったですね。京田辺市住民でもある北川先生は皆の政策提案を聞いてどう感じていましたか?」

北川「まず京田辺市のことを皆で考えてくれてありがたいという気持ちになりました。生徒とこの講座を通して、まず自分自身が変わりました。住民である私でも50数年間いて、ここまで京田辺のことを考えることは今までになかったからです。皆にも同じように、自分の住むまちについて知って欲しいと強く感じています。遠くに住んでいても、ふるさと納税というまちの取り組みを支持して応援できる仕組みがあったりします。高校生だからと諦めずに高校生の立場で気になる視点もぜひ大切にして欲しいと感じました。」

帖佐「お金がないとやはり市政は運営できない。そういった視点でできることを考えてみることもいいですね。それからどんなまちが魅力的だと感じますか?」

北川「住むとしたら、働くとしたら、学生として過ごすとしたら、年齢によっても優先順位が異なり一概には難しいですが、何を中心に考えるかだと思います。自分たちのまちは自分たちで変えることができる、参加できることを知ったことは今後に役立つと感じます。」

帖佐「都会派、田舎派でも分かれますね。その理由も人ぞれぞれですが、なぜそう思うのかを考えてみることはおもしろいと思います。いろいろな人がいるところが、まちづくりの難しさでもありますが、おもしろさでもありますね。どの街も画一的になってしまえばそれもおもしろくないわけです。最後にこの講座を終えるにあたり、どのように感じますか。」

北川「映画の最後に流れるエンディングロールを想像しています。いろいろな場所の取り組みを知り、行ってみないとわからないこともたくさんありました。富山でいうと3回行きましたが、知る前、そして今回行ったあとでは印象はまったく異なるものでした。最近のブラタモリの富山編では本当に自分の理解が深まっていたのですごく楽しく観ることができました。知ることで自ずとシビックプライドが高まるということも自ら実感しています。新しい発見や新しい視点があることを知り、得たものがとても大きいと感じています。この講座では教師も常に学んだ1年でした!」

帖佐「まだまだ知らないことがある!そして何が課題かをよく考えること、疑問を持つことが探求の基礎になりますね!」

本当に1年間おつかれさまでした!

●生徒たちの振り返り(ミニレポートより抜粋)


色々な立場の人がいるからゴールは一つではないと言うのを学んで、自分が色々な立場を想像して物事を捉えなければいけないのだなと考えました。まちはみんなのものだから、大多数の人の利益を考えるだけではなく少数の人のことも考えることが大切なのだと思うように変化しました。


どのまちも皆、地理的に違いがあり、その違いからあらゆる面も違ってくる。産業も、住む人の年代も、どこが弱くどこが強いのかも変わってくる。だから、こんなまちであるべき、というような細かい定義はなく、そのまちに適するまちづくりが必要だと知った。柔軟な考え方によって、前例にとらわれずに独自のまちをデザインすることが求められるのだろう。


今学期の学びから一つ気付かされたことは、街の”価値” 、素敵なところ、は探せば沢山見つけられることです。今まで京田辺市のまちの特徴に気を配ることなく、ただ”何もない田舎な街”だと思っていました。しかしこれは”街に素敵なところがない”、のではなく、私が”街のいいところを見ようとしていなかった”からである。身の回りに当たり前だと思っていた整備、企画、パブリックスペース、などをまちづくり一部をして意識して、京田辺のことについて学んだ結果、京田辺市の魅力が見えてくるようのなりました。京田辺市の特産品、豊かな緑、とても明るい京田辺市長、同志社との連携活動など、京田辺市ならでの特徴がわかりました。今学期で京田辺のことについてよりよく知ることができ、京田辺市が結構好きになりました。


SSSの授業を受けて単純に自分の街を振り返る機会が増えたり、どこ住みたいって聞かれた時とかにも今まではハワイ〜とかで適当に答えてたかもしれないけど、ここのこーいう施設は環境にも利益にもつながるしここに住みたいって考えるようになってきた。この授業で東京の公園の話とかおばあちゃんたちが葉っぱを売ってる話とかを聞いたりして新たな目線でものを見るようになった。


SSSは中学の頃までは受けたことのない科目で国算理社etc.で教わったこととは全く違う視点からの学習でした。またSSSは町作りのことや、発表やプレゼンなどで使えるスキル、社会と人の関わりについてなどについてなど、将来自分が社会に出て生きていく時に様々な場面において必要になるであろう知識を沢山教わった授業でした。SSSの授業は私にとって、普段の勉強からは得られないような知識を沢山学ぶことができた貴重な体験になりました。


今日、最後の授業で帖佐先生が都会派か田舎派か松野先生に聞かれていました。松野先生は都会派を選ばれていましたが、僕は断然田舎派です!うるさい人間関係もないし、四季がはっきりしていてとても綺麗で、何より自然を直に受け止められるような環境だからです!将来、どこか落ち着いたところでのんびりと暮らしたいです。しかし、かなり前のSSSの授業で田舎の都会化が徐々に進んでいると学びました。ここで1つ思い出したのが、3000年くらいの日本を描いたゲームの事です。そのゲームでは、街が人工物と人間で埋め尽くされて、車や電車の騒音でいっぱいでした。いつかはこうなってしまうのだろうかと思うととても恐ろしく感じます。SSSの授業を受けるまではこのような発想は到底浮かびませんでしたが、頭が柔らかく、深く考えるようになったので想像力が豊かになりました。発表もその準備もものすごく楽しかったし、もっと学びたかったです!


私はこの一年を通して、もともと興味を持っていたSDGsのゴールの一つである街づくりについて学べたことがとても嬉しいです。自分の住んでいるまちがどんな政策を行っているのか、いい街とはなんなのか、など気にしてこなかったまちづくりに関して深く考えるきっかけとなりました。先生方がおっしゃっていたように、実際に何か貢献できるかは別として、この授業を受けたということだけでも街を見る目が随分と変わったし、行政に対する信頼や感謝、興味が湧いできたので、来年からのSSRも楽しみにしています。


I believe that I was able to gain a newfound appreciation for the place I live in. Learning about a new environment and different ways of seeing a situation was interesting.


この授業を最初受け始めた時は正直、「この授業は役に立つのかな」と思ったこともありました。ですが、この一年間学んで、授業で習うたびに自分の知識や視野を広げることができて、町に対する考え方も変わり、政策作りについても学ぶことができ、とても役に立つ充実した授業でした。本当にこの授業を受けることができてよかったなと思えました。


SSSを通して、日常の何気ないものや出来事にも理由があり、それに目を向けることの必要性を知った。様々な物事には理由があり、それを分析することで多くの新たな観点が生まれ、社会に良い影響があると、学んだ。大学生になったら、自分の考えに説得性を持たせたり、上手く表現する力が必要なので、常に視野を広く持ち、色んな考え方やプロセスを身につけたいと思う。


どのまちも皆、地理的に違いがあり、その違いからあらゆる面も違ってくる。産業も、住む人の年代も、どこが弱くどこが強いのかも変わってくる。だから、こんなまちであるべき、というような細かい定義はなく、そのまちに適するまちづくりが必要だと知った。柔軟な考え方によって、前例にとらわれずに独自のまちをデザインすることが求められるのだろう。


私は1年間、町づくりについて学んで、町づくりのこと以外にも沢山学ぶことができた。例えば目を引くポスターの作り方や正しい質問の仕方など幅広くまちづくりを通して学べたと思う。それと同時に夏休みの課題など自分の町を知るきっかけにもなった。自分の町についてこんなにも考えたことはなかったし、SSSの授業がなければ考えることがなかったと思う。学んだ上でもっと今住んでいる町に感謝し、よりよい町づくりに貢献していきたいと思った。


SSSのクラスで学んだことは課題・問題への取り組み方です。違う視点を持ち解決法を多数作り、そこから一番適する解決法を選ぶということです。これを学び、自分が人生で詰まったとき活用できると思います。


話し合いの場が増えたことによって自分の発言する時が多くなりました。話を聞く態度をよく学びました。


二度とないこのメンバーでのチームティーチング、「まちづくり」という共通のテーマのもと、それぞれの教員の立場から教わり、また一緒に学んだ素晴らしい1年でした。次年度は選択科目となりSSR(Sustainable Society Research)として学びを進めていきます。